今回はおまけシールの異端『超念写探偵団』のドット絵です。
超念写探偵団はあのビックリマンシリーズに名を連ねる、おまけシール付きチョコレート菓子。
実写の心霊写真風シールが最大の特徴です。
当時は怪談ブームだった記憶がありますから、流行に乗って発売されたのでしょう。
今ではリアルタイムの世代くらいにしか通じない製品になってしまいました。
超念写探偵団といえば、ちょうど一年前にもドット絵を公開したことを覚えています。
11月はそういう時期なんでしょうか。
それとも私が憑かれているだけなのか。
それでは、どうぞ!
ビックリマンシリーズ『超念写探偵団』から「雲がく霊」のドット絵
タイトル:『雲がく霊』
制作時間:9.0時間
「雲がく霊」は忍者の格好をしたキツネの霊。
「雲隠れ」と「霊」がかかったダジャレネームになっています。
シール裏面のシンボルから推察するに「学力テスト」にまつわる霊の模様。
赤点で逃げ出したい気持ちの生徒にとりつく存在なのでしょうか。
前作「カンニンしてく霊」と同様に、うんざりするほど被ったシールの一枚です。
現在ならコレクション用あるいはトレード用として余りも大切に保管することが当たり前の価値観になっていますが、そこはまだ子供。
学習机に貼り付けて遊んでいました。
後に剥がそうとしたのかボロボロになっていたのもご愛嬌。
雑に扱われたシールの供養を今、ここで!
ドット絵の説明
超念写探偵団のドット絵では、シールの構造・特性を表現するようにしています。
まずはアニメーションの前半部分。
心霊写真の黒塗り部分を温めると霊のシルエットが現れる仕組みをドット絵で再現しました。
次に後半部分。
シールは2層になっていて、上層の心霊写真シールをはがすと幽霊のイラストが現れる構造です。
ドット絵では心霊写真面に幽霊本体が直接現れるようにしました。
こだわりポイント
キャラクターを「きれいに見える線」中心で作画しました。
きれいなドット絵を描くにはドットを規則正しく配置することが定石で、45度、90度、180度の直線はひときわスッキリして見えます。
このような最もきれいに見えるドット配置のみを使って作画する手法はしばしば利用されており、ドッターさんによっては画風として固定しているほど。
今回はそれにならって、習作のつもりで実践してみました。
基本的に直線を使っています。
たまにはレタッチでも
ドット絵を描くといっても作品によって必要な心構えが変わってきます。
静止画か、ゴリゴリに動かすのか、ゆるくデフォルメするのか、とことん描き込むのか。
それぞれ比重を置く作業が違うので、自分のやる気がどこにあるのか見極めを誤ると筆が進まなくなることも。
ドット絵のレタッチ(この言葉を使うのが正しいのか分かりませんが)も、自由な作画とは異なる感覚の作業です。
超念写探偵団のドット絵の心霊写真部分は基本的にレタッチで制作しており、今回もそれに該当。
所感もろもろをここに記録してみます。
レタッチとはなにを指すか
この記事では「現物画像を手直ししてドット絵を制作すること」をレタッチと表現します。
正しい表現か分かりませんが、他に適切な言葉を思い浮かばなかったので……。
レタッチについて調べてみると
レタッチ(retouch)とは、「手を加える」「修正する」という意味で用いられる表現。特に「フォトレタッチ(photo retouch)」の略として用いられることが多い。フォトレタッチは、デジタル画像を編集・修正する作業のこと。
Weblio辞書より
とのこと。
まあ、間違っていないでしょう。
ドット絵にする雲がく霊の心霊写真シールを減色・縮小したものがこちら。
このままではただの縮小画像ですから、実物を見ながら描き込んでドット絵を完成させます。
描き込みに関する観点は過去記事にまとめていますので、そちらをどうぞ。
曖昧な個所はらしさを重視
実物画像をドット絵にするにあたって情報量を削る必要がありますから、デフォルメが必須になってきます。
理論的な話は置いておいて、私は「それらしく見えること」を優先しています。
下の画像は右側の女の子の顔を拡大したもの。
鼻と口の境界が曖昧になっているのが分かるでしょうか。
拡大中はめちゃくちゃに見えるかもしれませんが、離れると表情を判別できます(できるよね?)。
閲覧側で曖昧部分を脳内補完してくれるのでしょう。
イメージを固めたら、あとはドットを置きながら試行錯誤していく。
いわゆるトライアンドエラーでやっています。
……ちなみにこの辺りのスキルが足りていないのか、私がやると全員オールマイトの出来損ないみたいな顔に……。
ポイントはアンチエイリアス
パーツの境界が曖昧でも許される要因のひとつはアンチエイリアス(ジャギ消し)だと考えています。
アンチエイリアスはぼかし効果がありますから、曖昧さのために利用することは理にかなっているのでしょう。
女の子の顔に使用している暗色を1色に統一してみました。
顔の陰影がはっきりし過ぎてドット絵として汚く見えせんか。
そして何より、顔らしさが失われていないでしょうか。
はっきりし過ぎると表情が定まってしまうからだと思います。
解像度的に表情を再現しきれていないはずですから、結果として顔に見えない……。
そんなロジックでしょう。
再現しきれないものはアンチエイリアスを使って曖昧に。
ぜひうまく使えるようになりたいテクニックです。
レタッチでは自由に描けない不自由さはあるものの、ラフ画相当が用意されている安心感がありますね。
汚く見えない程度のアンチエイリアス、低解像度内での再現といった、ドット絵的な表現方法の練習にもなります。
気分転換を兼ねてたまに取り入れていきたいと思っています。
それでは今回はここまで。
次の記事でお会いしましょう。