重要なことに気づいてしまいました……!
実はちょっと前からXを再開していまして。
ブログより3作品ほど遅れて、ドット絵を順に公開しています。
するとどうでしょう。
7月の初回投稿が……「ゲライ」とかぶるじゃないですか!
そして次が「呪怨」……もうお分かりですね?
そう!
Xで、夏のホラードット絵企画(ソロ)を実施いたします!
7月から最低でも8月いっぱいまで、「怖い原作」のドット絵だけを投稿していく予定です。
ブログの方も、ホラージャンル優先でどんどん仕上げていきますよ!
君は生き残れるか?殺人鬼に追われるホラーアドベンチャーRPG『涅槃~完全版~』

タイトル:『涅槃』
制作時間:38.3時間
『涅槃~完全版~』は、RPGツクール2000で制作されたフリーゲーム。
ジャンルはスプラッター表現を含む、ホラーアドベンチャーRPGです。
原案はYog=Sothothさん、製作はDarkworldSoftさん。
物語は、主人公が見知らぬ密室で目を覚ますところから始まります。
記憶も曖昧なまま脱出した先には、不気味な廊下が広がっていました。
つながる部屋を探索中、無残に破壊された死体を発見。
恐怖に駆られて部屋を飛び出すと、顔を白く塗った男がナタを持って現れます……
2025年現在、制作者さまの個人サイトは閉鎖していますが、ゲーム自体は公開先のVector(外部リンク)から今でもダウンロード可能です。
プレイ時間は25分~40分ほど。
非日常からの生還を目指すホラーが好きな方は、ぜひプレイしてみてください。
当時のフリーホラーの代表に挙げられる名作です。
プレイヤーを襲う4人の殺人鬼

『涅槃~完全版~』には4人の殺人鬼が登場し、凶器を持ってプレイヤーを追い詰めてきます。
操作キャラクターの戦闘力は高くないので、逃げるべき時は素直に逃げて態勢を整えないと、絶対に勝てない仕様になっています。
白塗りの男

最初に遭遇する狂人です。
個人的には、『涅槃』といえばこの男が印象的。
攫った女性に言葉をかけたり、殺人の様子を録画したり、ある程度の知性を保っているように見えました。
武器はナタです。
コック

他人の顔の皮を自分の顔に張り付けた狂人。
遭遇場所は作中で最も凄惨な状態でした。
武器は出刃包丁ですが、ゲーム絵のイメージに合わせて、ドット絵では中華包丁に変更しています。
ラバーマスク

ゴム製のマスクをかぶった筋肉質の狂人。
歩行グラフィックからすると下半身はゴム製?のパンツ一丁と思われ、プレイヤーから変態呼ばわりされることもあります。
武器はサバイバルナイフです。
黒マント

無表情な仮面をつけた狂人。
選択を誤るとラバーマスクと挟み撃ちにされるので注意が必要です。
武器は大バサミ。
没入感を生む主人公のデフォルトネーム「私」

主人公の名前の初期値が「私」になっているのは、うまい演出だと思いました。
今では3Dゲームで一人称視点が多用されますが、当時の2D RPGではその手法を使えません。
操作キャラクターとプレイヤーを重ね合わせることで、没入感を高めているのだと感じます。
主人公は私と全く似ていないのに、他人事には思えませんでした。
ドット絵で描く『涅槃』の世界

このドット絵は『涅槃~完全版~』のゲームコンセプトを表現したファンアートです。
逃げるプレイヤーキャラクターと、彼を追い詰める殺人鬼たちをひとつの画面に収めました。
一目でゲームの雰囲気が伝われば嬉しいです。
4人の殺人鬼、マスクの下まで描いています

殺人鬼たちは画面の四隅に配置し、中央の主人公を囲むような構図にしています。
これには逃げ場のない、緊迫した状況を表現する意図があります。
マスクをかぶっている殺人鬼たちについては、実はマスクの下の素顔まで作画しています。
目や口の位置に破たんが出ないようにするためです。

ゲーム中でダメージを受け、マスクが外れたときの顔を参考にしました。
完成後に隠れてしまう箇所ではありますが、説得力を持たせるためにこだわったポイントです。
ちなみにラバーマスクだけはマスクが脱げず、腕が飛びます。
そんなことある?
背景には彼らを狂わせた「緑の空間」を
ゲーム終盤、プレイヤーは「緑色の壁の空間」に到達します。
過去にそこへたどり着いた調査隊の記録から、その先にある門こそが人々を狂わせた原因だと分かります。
殺人鬼たちも、ある意味では犠牲者だったわけです。
この設定に基づいて、殺人鬼の背後に緑色の空間を描き込みました。

悩んだのは門の内側から放たれる光の色です。
当初は緊急性を表す赤を使い、ドット絵内の緊迫感を高めようと考えました。
ただ、赤が目立ち過ぎて、閲覧者の視線を奪ってしまう恐れがあったんですよね。
他の色を試しましたが……

今度はその色を使う理由がない。
最終的には、赤に戻すことにしました。
層構造で作る、2視点のアニメーション
今回のドット絵は、「殺人鬼レイヤ」と「プレイヤーレイヤ」という2つの構成に分けて制作しました。
前者はキャラクターのドット絵、後者はゲーム風の演出を担当しています。
ここでは、この構造の概要と、抱えているちょっとした問題点について簡単に紹介します。
基本は「殺人鬼レイヤ」と「プレイヤーレイヤ」の2つ
『涅槃』のドット絵は、次の2つのレイヤに大別できます。
- 殺人鬼レイヤ:四方にキャラクターを配置
- プレイヤーレイヤ:ミニキャラクターが廊下を走る

殺人鬼レイヤ中央に設定したひし形の透過エリアから、下層のプレイヤーレイヤが覗く構成が完成図となっています。

殺人鬼レイヤ・プレイヤーレイヤはそれぞれ2つのレイヤに分割できる
どちらのレイヤも、さらに「キャラクター」と「背景」の2つに分割できます。
これにより、表現に柔軟性を持たせることができます。

例えばプレイヤーレイヤでは、走るキャラクターの背後で廊下画像をスクロールさせることで、走っているようなアニメーションを実現しています。

上層に属する2レイヤの同じ範囲に透過処理を施す
下層のプレイヤーレイヤは単体で1つのアニメーション作品として独立していました。
しかし、殺人鬼レイヤはどうでしょう?
殺人鬼レイヤは上層に配置されますが、下層のプレイヤーレイヤが一部見えるようにする必要があります。
そのため、殺人鬼レイヤの中にある「キャラクター」と「背景」の両方に、同じ位置・形の透過処理(穴あけ)を施しています。
※ピンク色で示したひし形の範囲が該当

この透過処理まで施した画像が、実際にアニメーションに使用される素材になります。

上層レイヤの構造は今回も厄介
お気づきの方もいるでしょう。
この構造には問題点が存在します。
穴の位置や大きさを変更すると、次のような手間が発生します。
- 対象画像を作り直し、再度透過処理が必要になる
- キャラクターと背景、2つの画像それぞれで対応しなければならない
作画したドット絵をそのままアニメーションに使っているならこういった状況にはなりません。
作画後のドット絵を出力し、それに透過処理を施したものをアニメーションに使う。
そんな構造によって問題が起こるのです。
この問題は以前から気付いていたのですが……おそらく物理的に解決が無理なやつです。
計画段階で構図を詰めて、修正が発生しないようにするしかないでしょうね……。
諦めていた夏の企画を再開することになり、久々にやる気がみなぎっています。
その勢いのまま、Xの新ヘッダー画像を1日で描き上げてしまいました。
これまでは過去のドット絵を適当に流用していたので、画質はイマイチ、内容も意味不明という二重苦……。
ようやく「メディアとしてのX」の形が定まってきた気がしています。
それでは今回はここまで。
次の記事でまたお会いしましょう。
