前回の記事に引き続いて、今回も『マジック:ザ・ギャザリング(以降、MTGと省略)』のドット絵をお送りいたします。
MTGのドット絵が連続するのは初めてではないでしょうか。
時のらせんリマスター発売によってMTGのドット絵を描く熱量が上がっているようです。
題材の偏りを気にせずに描きたいものを描くのが一番ですね。
ドット絵のアイディアをメモに残すようにしているものの、時間が経つと描きたい気持ちが薄れてくると分かってきたこともあります。
継続的な作品発表を第一に心掛けていきますので、これからもよろしくお願いいたします。
『MTG(マジック:ザ・ギャザリング)』から超パワーカード「天秤」のドット絵
タイトル:『天秤』
制作時間:20.3時間
「天秤」は、これまで描いてきた中で屈指のカードパワーを誇っています。
お互いのプレイヤーがコントロールするクリーチャー、土地、手札の数を、それぞれ最も少ない数で釣り合いを取るというカード名通りの効果。
ほとんどのフォーマットで禁止カードに指定されています。
当時の私は「天秤」の強さを全く理解していませんでした。
かつてMTG漫画だった『デュエル・マスターズ』の第1話で主人公の切札勝舞くんが「Zuran Orb」とのコンボを決めているのを見て、何となくすごいカードだろうと。
その程度の認識でした。
戦略に沿ってデッキを組み立てることを覚えた後になって見ると納得の強さ。
軽いですし、エンチャントやアーティファクト、プレインズウォーカーを壊さないところも悪用できます。
2ターン目に実質的な全体除去を撃てるというだけでもなかなかのもの。
さて、ここからはドット絵の説明です。
皿の動きに合わせてカード枠がスライドするアニメーションをつけて『天秤』を制作しました。
スライド時は裁断ミスのエラーカードを意識しています。
作品のフレーバーでいうなら、カードをカットする位置のバランスを天秤が取っているイメージでしょうか。
「天秤」のカードはテキスト量が多く、テキスト欄の空きスペースをいつものように利用できません。
枠を動かすアニメーションと「天秤」の相性が良かったです。
天秤
黒枠カードとして描きました。
私がMTGを始めたのは第5版の頃。
「天秤」が収録されている第4版を入手できる時代ではありましたが、英語版は白枠です。
黒枠の「天秤」を手に取ったことすらありません。
あえて黒枠にした理由は2つ。
最古のオラクルを反映したかったこと。
そして、スライドさせるなら黒枠の方が見栄えがよかったことです。
「ベータ版の天秤を使っていたから」と説明できれば格好良かったんですけどね(汗)。
こだわりポイント
『天秤』では、カードがスライドした際に押し出されたテキスト欄が上側からせり出してきます。
この時、オラクルが最新テキストに変わっています。
文章は『エターナルマスターズ』のものです。
あなたは、お気づきになられただろうか……?
コマごとにディレイを変えてみる
ドット絵アニメーションはいわばパラパラマンガですから、各コマの表示時間を設定する必要があります。
ドット絵ツールによって表示時間の呼び名は様々でしょう。
EDGE2は「ディレイ」と呼称していますね。
EDGE2ではディレイが示す単位も設定できます。
画像の赤枠で示した右側が単位設定です。
上の設定では対象のコマを5/60秒、すなわち0.083秒表示するわけです。
私はいつもディレイを3か4、単位を1/24秒に設定しています。
これはアニメ業界で使用されている「タイムシート」が、1秒を24コマに分割した構造になっているのに由来しています。
また、タイムシート24コマの中に8枚の絵を描いていることが多いと思ったので、ディレイを3に決めました。
あくまで素人の調査結果に基づいた現状の設定値なので参考にする際にはご注意を。
ディレイ値の目安は?
ディレイを大きく設定するとゆっくり動くかわりにカクカクに見えます。
反対にディレイを小さくすると動作が速く余韻を感じられません。
天秤のアニメーションで比べてみます。
こちらはディレイを3に設定したアニメーション。
単位は1/24秒です。
続いて、ディレイを4に設定したアニメーション。
単位は同じく1/24秒。
どうでしょうか。
ディレイ3の皿の動きはさすがに早すぎると思いませんか?
実物の天秤の動きを知っている人はディレイ4でも早いと思うことでしょう。
私は基本的に1/24秒単位のディレイ3でアニメーションを制作しており、「このドット絵はもう少しゆったり動いてほしい」と思ったときにはディレイ4を設定します。
ディレイおよび単位設定の根拠は先に述べた通りですが、ベースラインを持ちつつも最終的には、出来上がったドット絵の動きを見て感覚的に値を変更しています。
『天秤』においてはゆっくり動いてほしい個所とそうでない個所が混在したため、ディレイ3とディレイ4の両方を使いました。
『天秤』アニメのディレイ設定値
『天秤』のアニメは4つのパートに分けられます。
パートごとにディレイを設定しました。
待機
天秤の基本アニメーション。
カードイラストをそのまま動かしたようなドット絵です。
皿がどっちつかずに揺れる様子を表現するにはゆっくりめに動かす必要があり、ディレイ4を設定。
下降
天秤の傾きに合わせてカード枠がズドンと落ちるアニメーション。
勢いがついた動きなのでディレイ3を設定。
下側待機
下降の余韻で皿が揺れるアニメーション。
ゆっくり動かしたいので待機とレベルを合わせてディレイ4を設定。
上昇
カード枠が元の位置まで戻るアニメーション。
皿の揺れと違って能動的な動きなのでディレイ3を設定。
パート単位でディレイを変えて思わぬメリットがありました。
下降から下側待機に移行する際にディレイ3からディレイ4に切り替わるのですが、皿の揺れが次第に収まっていく様子をうまく表現できて気に入っています。
自分の作品の傾向を踏まえるとアニメーション重視のドット絵はディレイ3、雰囲気重視のドット絵はディレイ4がいいのかなあという印象です。
アニメーション速度は枚数やコマ割りでも緩急を付けられるので奥が深いですよね。
その線引きについても今後研究していきたいです。
今回の記事はいかがでしたか?
最後に等倍のドット絵でお別れしましょう。
また次の記事で!