2023年ホラー企画の第4弾。
今回はホラー映画『Scream』のドット絵を制作しました。
このブログで海外の実写映画を題材にしたのは初めてではないでしょうか。
映画は視聴を重ねるたび、同ジャンル作品のオチが読めるようになってきます。
演出がテンプレート化してきているホラー映画はその典型といえるでしょう。
だからこそ予想を超えてくるタイトルに出会ったときには喜びが倍にもなるというもの。
『Scream』はまさに「こういうパターンの犯人もいる」と教えてくれた作品でした。
サスペンスやホラーを見慣れていない方は意表を突かれること間違いなし。
興味を持ったらぜひ見てみてください。
余談ですが2022年に『Scream』の続編映画が公開されました。
私は作品の特性を知っていたこともあって見事に犯人を的中(笑)
シリーズ初見の方はこうなるともったいないので事前知識なしで視聴しましょうね!
犯人の正体に意表を突かれたホラー映画の名作『Scream』

タイトル:『Scream』
制作時間:47.1時間
『Scream(スクリーム)』は1996年に公開されたアメリカのスラッシャー映画です。
田舎町ウッズボローの自宅で女子学生とそのボーイフレンドが惨殺される事件が発生。
数日後、同じ学校に通うシドニーの元に不審な電話が掛かってきます。
突如として現れたマスク姿の殺人鬼に襲われるも何とか事なきを得たシドニー。
しかし殺人鬼は執念深く、周囲の人物を殺害しながらシドニーに再び近づいていきます。
ネタバレを防ぐために深く切り込みませんが犯人の正体に驚いた映画です。
殺人鬼のキャラクター性が確立されているのもすごい。
パロディに用いられることもある有名作品なのでホラー好きはチェックですよ!
ゴーストフェイス

『Scream』に登場する殺人鬼。
黒ずくめに白いゴーストマスクといういで立ち。
電話でターゲットの恐怖をあおってからナイフで殺害する手口が主です。
声バレを防ぐためにボイスチェンジャーを使用。
相手に抵抗されて吹き飛ばされるシーンがよく見られ、スクリーン上の殺人鬼としてはかなりひ弱な印象でした。
むしろそれがリアルで良いのかも。
地味に人気ポイントになっているようです。
ケイシー

映画の冒頭でゴーストフェイスに殺害される、いわば第一犠牲者。
自宅で不審な電話を受けた後、姿を現したゴーストフェイスに殺害されます。
ホラー映画好きとのこと。
『Scream』はホラー映画の定番パターンについて劇中で言及するアプローチをとっているため、ケイシーと犯人によるホラー問答が実は意味のあるやり取りなのはよく練られていると思いました。
ドット絵の説明

この作品は映画『Scream』における冒頭シーンをデフォルメで再現したドット絵になります。
前半は女子学生のケイシーが不審な電話を受けるシーン。
会話が終わるとゴーストフェイスが出現、ケイシーに刃物を突き立てます。

枠のデザインに見せかけていた殺人鬼が飛び出てくるようにしたのがこの作品のこだわり。
映画で「電話先の不審者が実は近くにいる」状況を表現しています。
最後は映画タイトル表示。

血しぶきでアクセントを加えました。
ナイフの種類は「クリップポイント」

ゴーストフェイスの主な凶器はナイフです。
常に握られているので全体をよく確認できないのがつらいところでした。
刃先の形状から調べてみると殺人鬼が使っているナイフはどうやら「クリップポイント」と呼ばれる種類とのこと。
用途としては狩猟向きなんだとか。
人を狩る殺人鬼にはぴったりなのでこれで間違いないと思い、実物資料をあさって作画しました。
せりふの取捨選択

表示しているせりふは映画そのまま。
さすがに全てを再現するとアニメーションが長くなりすぎるので大幅にカットしています。
文脈をある程度の意識して取捨選択したつもりですがどうでしょう?
実はこのドット絵最大の不安箇所です。
私は英語が全然ダメ。
映画の文字起こし資料をいくつも調べ、納得した文章を採用しています。
内容が作者ごと微妙に違うんですよね。
日本人が邦画の文字起こしをしたとしても聞き違い等あるでしょうし、言語が違っても難しさは同じなんでしょうね。
せりふに使用したフォント

ホラーに合うフォントを探して『g_コミック古印体』を発見。
ところどころが途切れ、かすれたように見えるのがホラーにマッチしていると思いました。
文字描画ツールで打ち出したままだとドットの並びが雑すぎるのでちゃんと手直ししています。
元フォントの再現性が低くなったことが残念です。
ハーフアンドハーフの吹き出し

吹き出しの半分が(縁を含む)二重線になっていることがこだわり。
一方が電話口、もう一方はゴーストフェイス本人から声が出ている演出になっています。
漫画を読む方ならお気づきと思いますが二重線の吹き出しは電話をはじめとする、機械から発せられた音声に使われている表現。
先人が確立してくださった手法のありがたみが身に染みます。。
[制作記事]吹き出しの演出を作る
今回はせりふ付きのドット絵を制作しました。
それに伴い吹き出しを使った漫画表現を採用。
半分は電話口の会話、半分はキャラクターが直接発した言葉という特殊な用法を取り入れつつも、うまくやれたかなと思います。
この後半記事では吹き出し周りについて考えたことを説明していきます。
先端を伸ばしやすい吹き出し位置を決める
画面構成を考える中で吹き出しの位置を決めました。
位置が悪いばかりに先端を目標まで伸ばせないなんてことになったら目も当てられません。
biimシステムゲームなどでおなじみの画面下部に決定。

せりふがない場合は吹き出しの先端を表示せず、キャラクターが発言してはじめて先端を表示させる方針にします。

吹き出しの主が不明確に
この吹き出しは先端が2カ所に伸びています。
具体的には右側のゴーストフェイスと、画面中央にいるケイシーが持つ電話子機。
殺人鬼の声が本人の口と受話器の両方から聞こえる演出になっています。

ここで問題になったのが電話子機のサイズでした。
電話を持つケイシーを含めたドット絵のサイズがあまりにも小さいため、吹き出しが指しているのが電話とキャラクターどちらなのか、伝わりにくいのです。
ケイシーとゴーストフェイスがなんで同じせりふを読み上げているの?なんて解釈されかねません。
閲覧者が確実に認識できる必要がありました。
吹き出しの種類で発言者を識別させる
声を発しているのは電話・人物どちらなのか問題。
漫画では表現方法がとっくに確立されていました。
電話などの機械から発せられる音声は二重線で角が立ったフォルムの吹き出しで表現されているのです。
ドット絵もこれを適用。
キャラクター側は通常の吹き出し、電話(ケイシー)側には二重線の吹き出しを設定します。

漫画というコンテンツになじみのある人は多いはず。
きっと多くの方に左側が電話声だと察してもらえるでしょう。
作画において吹き出しの冗長性を防ぐ
さて、吹き出しのデザインは決まりました。
先に述べた通りせりふ有無によって形状が変わるため、吹き出しには2種類のバリエーションが存在することになります。

それぞれ用意してもいいのですが、テキストエリアを共通化できそうなことを踏まえると無駄を感じます。
そこで共通テキストエリアと差分を別パーツにして吹き出しを作画。

パーツを重ねて吹き出しを構築できるようにしました。

こうしておけば各パーツの修正が他に波及することがありません。
最近はどうにもドット絵の進捗が悪いです。
スランプ……と言いたいところですがスランプに陥るほどの地力はないので、単純に暑さにやられているんでしょう。
室温35℃くらいなら余裕で超えてきますからね。
涼しい時間帯を選んで作業するにしても、もはやそんなタイミングは存在しないような……。
8月はたぶん地獄ですね!
それでは今回はここまで。
次の記事でお会いしましょう。
