時のらせんリマスターが発売されましたね!
近年まれに見る、旧枠が熱い時期といえるでしょう。
私はこれまで基本5色の旧枠カードをドット絵化してきました。
次は新枠や特殊枠に挑戦すべきか?
悩む日々が続いていましたが、これで遠慮なく宣言できますね。
旧枠カードのドット絵、2巡目に突入します!
思い出補正があるので当面は旧枠カードを描いていればいいかなとも思っていたり。
描きたいカードはいくらでもありますし。
マルチカラーやアーティファクト、土地にも早めに手を伸ばしたいところです。
前置きが長くなってしまいましたが、今回もぜひドット絵を見ていってください。
『MTG(マジック:ザ・ギャザリング)』から「シヴのヘルカイト」のドット絵
タイトル:『シヴのヘルカイト』
制作時間:22.8時間
エキスパンションと妙に紐づいてしまっているカードってないでしょうか?
私にとって「シヴのヘルカイト」はそんな一枚。
このイラストを見ると「ああ、サーガだなあ」と郷愁に駆られたような気持ちになります。
同エキスパンションのドラゴンに人気カード「稲妻のドラゴン」がありますが、私はヘルカイト派です。
構築で強いカードではないですけどカードとしては弱くないですよね。
限定構築だと強そうなので、カジュアルだと楽しいカードなんじゃないかと思います。
ドット絵を描いていると紙レア扱いしていたカードたちを再評価できますね。
MTGカードをドット化するにあたって、アニメーション寄りと描き込み寄り、どちらにするか決めて描いています。
「シヴのヘルカイト」は描き込み寄りで制作しました。
動きが少なくなるものの、静の雰囲気で味が出るので動くドット絵とは違う良さがあります。
テキスト欄に風景を描くといい感じになる法則性も分かってきました。
シヴのヘルカイト
この頂点捕食者の面構えを見てくださいよ!
全身が画面に収まらないでかさ、首を上に突き出して周囲を見渡しているさまが、堂々としていて何という格好良さ!
本家イラストは太陽光が反射していてもっと雰囲気があります。
ドット絵はその辺りの再現性がちょっと低いかもしれません。
ぜひ本家イラストも見ていただきたいです。
背景はヘルカイトよりもさらにドット絵らしくデフォルメ。
個人的には違和感なしと判断しましたが、人によってはギャップが不自然に感じるかもしれません。
こだわりポイント
カードドット絵の場合、こだわりポイントがテキスト欄アニメの説明コーナーになっているような(笑)。
テキスト欄の溶岩はヘルカイトが生息するシヴの火山地帯をイメージしています。
背景ピンクが明るめの色なので分かりづらいと思いますが、地下空洞のつもりで描きました。
シヴは地表と同様に、地下も厳しい環境に違いありません。
テキスト欄を石板チックな質感にしているのでヒビを入れ、マグマが流れるように。
ドロリとした感じを出さないといけないので水とはちょっと違った描き方を求められますね。
アニメーションのループ枚数の決定順序
私の作品はアニメーションを複数パターン搭載しているものが主流になっています。
そういうドット絵は、それぞれのアニメーションがきちんとループしなければなりません。
本来は各アニメのループ枚数を先に決めてからドット絵を描き始めるのでしょう。
私はそこまでの熟練者でなく、実際に描かないとどの程度動くのか判断できないことがしょっちゅうです。
計画通りの枚数に収まるよう計算して作画する芸当なんて、とてもできません。
今回は私がアニメーションのループ枚数を決める過程を記事に残します。
過去記事で書いた反省内容を踏まえた手順になっています。
次に同じような記事を書くときには、さらに新しい境地に至っていることを願うばかりです。
全体のループ枚数
最初に決めるのはドット絵全体のループ枚数です。
『シヴのヘルカイト』の構造を見てみましょう。
上画像はアニメーションをイラスト部とテキスト欄の2つに分解したもの。
12枚ループと6枚ループのアニメーションで構成されたドット絵です。
つまりイラスト部が12枚で1ループしている間に、テキスト欄の6枚が2回ループする作りになっています。
数字が最も大きい12枚が全体のループ枚数と一致するわけですね。
数字の小さいアニメの枚数は全体ループ枚数の約数にするので、先に決めるべきは全体ループ枚数ということになります。
メインアニメを決める
最も枚数が多いアニメーションがドット絵全体のループ枚数になると述べました。
では、最も枚数が多くなるアニメーションとはどのようなものか。
おそらくは一番凝ったアニメーションでしょう。
それを、作品中で一番注目してほしい「メインアニメ」と捉えます。
例えば『シヴのヘルカイト』では以下の2カ所を動かす構想を練りました。
- 火山から噴き出す煙
- テキスト欄を流れる地下マグマ
このとき「煙のアニメはある程度の枚数を描かないと煙らしい動きにならないだろう」なんて考えながら、最も難易度が高いと見当を付けます。
描き慣れていない題材で不透明性を含んでいることを根拠にするケースも多いです。
一方で地下マグマは、上から下に流れる単純なアニメーション。
難易度は低いと思われます。
よって、火山から噴き出す煙をメインアニメに位置付けました。
メインアニメを描く
アニメーションの重要度・優先度を決めましたが、ループ枚数はまだ決めていません。
ループ枚数を決めないまま、真っ先にメインアニメを描き始めます。
そう、決めてから描くのではなく描いてから決めるのです。
ここで留意するのは
- 自分で納得するアニメーションに仕上げること。
- ループ枚数を素数にしないこと。
の2点です。
自分で納得するアニメーションに仕上げる
動きや速度がイメージ通りになるようにアニメのコマを描いていきます。
火山の煙を例にすると、モクモクと昇っていく動きに見えるかが最重要。
枚数が少ないと煙の粘度を表現できません。
枚数を決めていないからこそ自由に試行錯誤し、納得できるレベルまで描き込みます。
ループ枚数を素数にしない
イメージ通りのアニメが完成したらループ枚数を確認しましょう。
素数は厳禁です。
コマを追加したり減らしたりしてなるべく約数が多い枚数に修正します。
偶数がおすすめ。
この作業は、完成しているメインアニメの質をなるべく損なわないようにしつつ、他アニメ枚数の選択肢を増やすために必要です。
例えば完成した煙アニメーションは元々10枚でしたが、約数が多い12枚までコマを描き足しました。
結果として地下マグマ側の6枚ループという選択肢を得られました。
枚数を増やす是非ですが、煙の粘度が上がって脳内イメージに近づいたので、コマを減らすよりベターな選択だったと思っています。
アニメがもっと速くてよいと感じたらコマを減らすのもありでしょう。
完成した12枚の煙アニメです。
最も凝ったアニメーションが完成したことで12枚のループが確定しました。
このメインアニメに修正を加えることを避けたいので、12の約数である2、3、4、6、12のいずれかのループ枚数をきっちり守って他アニメーションを作っていきます。
残っているのはメインアニメよりも単純な動きですから、2~6枚の選択肢で理想に近い動きを実現できるでしょう。
メインアニメの12枚が想定通りループ枚数の最大値、すなわち全体のループ枚数になりました。
ここまでの話をざっくりまとめると、
- ループ枚数に縛られない状態で難しいアニメ(メインアニメ)を完成させる。
- メインアニメの枚数を、約数の選択肢が多い数値に調整する。
- メインアニメの枚数をドット絵の全体ループ枚数に設定する。
- 全体ループ枚数(=メインアニメの枚数)の約数の中から、他アニメーションのループ枚数を決定する。
です。
この方法を使うと、最も複雑なアニメーションから「決められた枚数内できれいにループさせる」という制約がなくなるため、難易度を下げつつループ枚数を決定できるメリットがあります。
アニメ枚数で失敗し反省したのが去年の7月末。
それから約半年の間、おかしな枚数でループさせないように気を付けてドット絵を描いてきました。
やっていると慣れるもので、思い付きでアニメを追加したくなっても対応できるようになりました。
気分に任せて描けるのが趣味ドット絵の良いところ。
計画も大事ですがあまり執着せず、ゆるくやっていきますよ。
最後に等倍のドット絵でお別れです。
次の記事でお会いしましょう!