部屋が灼熱地獄になる覚悟をしていたものの、どちらかというと肌寒い日が続いて幸運な2週間だったと思います。
まあ、作業時間をしっかり確保できても完成まで時間がかかり過ぎたのは相変わらずでした。
効率をどうにかしないといけませんね。
5月分を余裕をもって公開できたので良しとしましょう。
ドット絵も満足のいく出来になったと思います。
どうぞ見ていってください。
ホラー漫画『ニクバミホネギシミ』から、土着の神を喰らって成り代わった外来の神「ゲライ」

タイトル:『ゲライ』
制作時間:55.1時間
『ニクバミホネギシミ』は主人公の二人組が怪奇現象に遭遇する様子を描いたホラー漫画です。
オカルトライター・犬吠埼がカメラマン・浅間を伴って、様々な事件に首を突っ込んでいくバディもの。
各事件は2~3話のエピソードでひとまずの終息を見せる構成になっています。
作者はパレゴリックさん。
この漫画のユニークなところは土着信仰の要素が強い点です。
どの怪異も人間の手ではどうしようもない神格の類い。
基本的に鎮めるもの、あるいは目を伏せて避けるものというスタンスで扱われます。
古くから土地に根付いた得体の知れない存在に目を付けられる恐怖、そして人間の矮小さを味わうことでしょう。
また、1話時点で犬吠埼の変死が明らかになっています。
二人の活動の果てに何があったのか、物語全体にまたがるミステリーも楽しみなところです。
主人公のひとりは霊能力持ち

バディの片割れ、カメラマンの浅間は霊能者の家系。
霊感を買われ、オカルト専門家のごとく犬吠埼に同行させられます。
嫌がる反面その知識は確か。
相方のストッパーになりつつ事態を好転させようと立ち回ります。
一見すると最善の行動を選択できる彼ですが妹を失ったトラウマを抱えており、怪異に利用される弱みになっています。
外からやって来た神格、「ゲライ」

「ゲライ」は第4話『怪喰らい神歪み(けぐらいかんひずみ)』に登場する怪異。
牟甲斐村(むかいむら)に外からやってきた神です。
元からいた土着神を喰らって神座を乗っ取りました。
神に成り代わったゲライは村民の捕食を開始。
穴に擬態した口から人々を誘惑する言葉を発し、餌が飛び込んでくるのを待ちます。
チョウチンアンコウのような疑似餌を持ち合わせており、穴に惑わされなかった者を誘い出します。
疑似餌は相手が最も求めるものに化けるとか。
食べ残しの概念もあるらしく、食いカスとなった村民はゲライの言葉をただ求める異形に成り果てていました。
ひたすら穴を掘っている人たちです。

ドット絵の説明

この作品は『怪喰らい神歪み』の再現ドット絵です。
エピソードに登場する怪異「ゲライ」をフィーチャー。
食らい尽くされた村、疑似餌に妹の影を見出す浅間、空から監視するゲライをワンシーンにまとめました。
全体の雰囲気は切り絵をイメージしています。
まばたきモーションは爬虫類を参考に
神であるゲライはどの生物に似ている、と具体的に示すことができません。
(メタ的に言うならチョウチンアンコウがモチーフだとは思いますが)
しかしドット絵に動きをつけるうえでモデルがいないと説得力に欠けるので、実在する生物の特徴を掛け合わせることにしました。
参考にしたのは爬虫類・両生類です。
ゲライのまばたきモーションに活用しています。

トカゲとかのまぶたって下から上に閉じるらしいんですよね。
眼球の色なんかもカエルをイメージしました。
一気に爬虫類感が出て自分でもびっくり。
調査って大切ですね。
ゲライの世界にアンチエイリアスなし
本作はアンチエイリアスをほとんど使わなかったドット絵になります。
色数も抑えて、レトロ風にしたとでもいいましょうか。
描き込みの度合いによってゲライの影響下か否かを区別しました。
影響下にあるものはアンチエイリアスなし、影響を受けていないものはアンチエイリアスありです。

支配されている村は当然なし。
食べ残しの村民も同様。
神であるゲライだけがアンチエイリアス含む描き込みを施しており、あるがままの状態を示唆しています。
主人公・浅間もアンチエイリアスがかかっていませんが、複数色を用いることで中間の「取り込まれかけ」を表現しています。
パース側を理想の線に合わせて民家を作画
これまで何度も言ってきたように、私にはパースの知識がほぼありません。
ですから背景の作画では毎回ヒィヒィ言いながら正しいかも分からないパース線を引き、それらしく思えるものを描いています。
今回はさほどパースにこだわらなくていい画風だったものの、民家に限っては
- パースを使わないとそれらしくならない。
- 通常のパースでは歪んだ感が出ない。
という問題に直面しました。
そこで考えた結論が……パースを絵に寄せればいいんじゃない?
曲がったパース線を民家に適用する
歪んだ線を描きたいならパースを曲げればいいんじゃないの?という理論で曲線のパースを作ってみました。
まずはどんなパースが適用されているかご覧ください。

画面外から中央付近に向けてカーブした線が収束していくパースになっています。
収束地点が消失点、消失点が乗っている横ラインがアイレベルになるでしょうか。
曲がったパース線を作成する
パース線の作り方は超簡単。
円形ツールで楕円を重ねていき(見えづらくてすみません)

上側半分の左右を入れ替えるだけ。

これで中央に近づくほど歪むパース線が完成しました。
ここでは右側を使用します。

ドット絵内の消失点までパース線を移動。
以降はパースに沿って作画を進めます。

縦方向も同じ方法で作成できます。(こちらは左右の入れ替えなしで使用)


繰り返しますが私はパースの知識が皆無なため、これがパースと呼べる代物なのかも分かっておりません。
ご承知おきください。
画面内の消失点が2つになりました
私はラフを終えてから次工程に進んでいます。
今回も以下のようなラフを作成し、収まりが良さそうな構図を先に決めていました。

しかし、右側民家と同じ消失点を使って左側民家のパースを取ると

うまくマッチしないんですよね(汗)
歪みが急になってしまいました。
そこでパース線がラフの線に近づくように消失点を右へ移動。
適合した位置がこちらです。

新しいパース線に沿うことで左側の民家もラフ通りに作画できました。
しかしその結果として画面内の消失点が2つに。

民家それぞれに消失点が存在します。
消失点が複数あることは絵的に誤りでないと思うのですが、こうしたパースの取り方ってどうなんでしょう。
そこまでの破綻は感じません。
民家の向きが異なるから、ってことで問題ないのかな?
2023年まではホラー原作のドット絵を夏に集中投稿していました。
ニクバミホネギシミも8月頃にまとめて制作・公開したかったのが本音です。
しかしながら最近の私の体たらくを見るに投稿の確約なんて到底無理。
下手に温存せず、描きたいときに消化していく方針にしました。
……いやあ、本当に夏のホラー企画はやりたいんですけどねえ。。
近年は気温が(略)
それでは今回はここまで。
次の記事でお会いしましょう。
