今回は人気漫画『キン肉マン』のドット絵を描きました。
というのは地味にひっかけで、今回のキン肉マンは「漫画」ではありません。
題材に選んだのは劇場版のみに登場する「アニメ」オリジナル超人。
キン肉マンファンですら知らない可能性のある、マイナーな連中です。
どうしてこんな奴らを描いたのか疑問に思われるかもしれませんが、子供の頃に思い入れがなかったキャラクターを再評価するのにいい手段なんです。
「俺はこいつら知っているんだぜ」というマウントにもなります。
多くの人にとって微妙な題材かもしれませんがぜひ見ていってください。
劇場版アニメ『キン肉マン 正義超人vs古代超人』から「古代超人」
タイトル:『古代超人』
制作時間:28.9時間
『キン肉マン 正義超人vs古代超人』は1985年に上映された、キン肉マンのアニメ映画です。
ストーリーは以下の通り。
イースター島にマリさんや子供たちと観光中のキン肉マン。
ちょうどその頃、サタンキングの部下たちが、世界各地で正義超人たちを襲撃していた!
キン肉マンのところにもサタンキングの魔の手が…!
キン肉マンは子供たちをかばうあまりに、大ピンチに!!
DVD『キン肉マン THE MOVIE』解説書より
宇宙の真の支配者「サタンキング」はいずれ地球に正義超人が集まることを予測し、大昔から部下を送り込んでいました。
キン肉マンが観光中のタイミングでついに行動に出た、という流れです。
おなじみのアイドル超人たちがアニメオリジナルの敵「古代超人」を相手に大暴れします。
古代超人
大昔に地球に送り込まれ、古代の建造物内で正義超人を待ち受けていたのが古代超人です。
大将のサタンキングを除き名称は「~サタン」で統一。
各幹部が大勢の雑兵を引き連れてそれぞれのグループを形成しています。
アニメオリジナルにありがちな強キャラ設定が盛り込まれていて、悪魔六騎士ですら部下の部下だとか。
やっつけ感のあるデザインもアニメオリジナルならでは。
しかしよく観察すると属性やカラーリングなど、バランスが取れていることが分かります。
ストーンサタン
イースター島でキン肉マン一行を襲った古代超人。
モアイモチーフの外見をしています。
子供をかばうキン肉マンを追い詰めたものの、駆け付けたバッファローマンに一蹴されました。
最終決戦で再登場しなかったため緒戦で本当に死亡したか、復活させてもらえなかった可能性があります。
ザウルスサタン
パレンケの遺跡でテリーマンを襲った古代超人。
突如出現した大怪獣の口から部下と共に登場。
怪獣は戦闘に参加していなかったので空母のような位置づけだったのかもしれません。
ザウルスサタンの配下だとしたら、そこそこの権限を持っているのかも?
コンドルサタン
ナスカ高原でロビンマスクを襲った古代超人。
古代超人の中でも出番が少ない印象。
ロビンマスクに同行していただけのラグビーチームメイトまで容赦なく襲い、ボコボコにしたのがハイライトでした。
ガンサタン
タッシリ山でウォーズマンを襲った古代超人。
名前のガンは銃(gun)ではなく眼です。
最終決戦時は虹色に輝く剣を装備していたことから武器も使える模様。
ジョーズサタン
大西洋でブロッケンJr.を襲った古代超人。
最終決戦では組み付いて心中を図りました。
あの場面であっさりと相打ちに持ち込まれたブロッケンJr.は負けに等しかったと思います。
コブラサタン
ムー帝国でラーメンマンを襲った古代超人。
ドット絵では見えませんが下半身が蛇になっています。
最終決戦時はラーメンマンに対抗すべくヌンチャクを使用。
足場を破壊するからめ手を見せました。
ハニワサタン
博物館でリキシマン(ウルフマンのアニメ版名称)を襲った古代超人。
どう見ても土偶モチーフですが埴輪型の部下たちに紛れているので問題ありません。
雑兵ひとりひとりの造形が異なる珍しい古代超人です。
なぜそこに作画コストをかけてしまったのか。
ドット絵の説明
本作は古代超人を描いたキャラクタードット絵です。
古代超人の中でも幹部と思われる個体に対象を絞りました。
キャラクターをスクロールさせるコンセプトは過去作を踏襲。
前作からちょうど2年経つのでセルフオマージュをしてみました。
古代超人たちのビジュアル
古代超人のビジュアルには私なりの解釈を加えています。
というのも劇場版アニメはコストの都合なのか作画が微妙で、キャラクターデザインがちぐはぐになっていることがしばしば。
それならばいっそ自分の合点がいく姿で描いてしまうことにしました。
ガンサタン
全身がつやつやしているガンサタンは金属製と思われます。
場面によって形状がコロコロ変わり本来の形状をつかめないので、変形してもおかしくない素材として腕や首元を柔軟性のある生身風に。
対戦相手つながりで原作ウォーズマンをイメージしました。
ハニワサタン
ハニワサタンは設定的に焼き物……のはずがアニメカラーは真っ黄色。
明るい土色を表現したものと思われます。
古代超人を並べた時のカラーバランスを崩したくなかったので黄色をそのまま採用して金ピカに。
金箔で装飾されたような外見にしました。
石系の塗りにするとストーンサタンと被りますし一石二鳥です。
[制作記事]ブラック軍団 vs 古代超人!!2年前のドット絵と新作を比較
古代超人のドット絵は過去作『ブラック軍団』のセルフオマージュです。
ちょうど2年前の作品でタイミングも重なったので実験的に制作してみました。
シリーズものとの線引きが難しいですが「同じコンセプトの単発作品」という感覚でしょうか。
自分の成長を定期的に確認する意味でもこういう試みはきっと有益だと思います。
ここからは2作品を比較しつつ所感を書き出してみます。
出来の良し悪しをどう見るかは……皆さんの判断にお任せで!
ドット絵の共通点
2つのドット絵は同じコンセプトで制作されています。
演出面の違いはあるものの、並べて関連性を感じられる作品に仕上げることができたと思っています。
コンセプトを明文化すると以下の通り。
- キン肉マンの劇場版アニメオリジナル超人が題材
- 幹部クラスの超人の集合絵
- 横スクロールアニメーション
- 黒主線がメイン(カラートレースを多用しない)
視覚的に影響が大きい要素を抽出した結果です。
ドット絵の相違点
コンセプトが同じだからといってキャラクター以外が全く同じでは、公開する作品としてイマイチです。
新作ではいくつか変更を施しました。
フォーカス時の演出
一番の変更点は中心部に達したキャラクターへのフォーカス方法です。
ブラック軍団ではセンターのキャラクターが発光するギミックを加えていました。
これは映画の演出を再現したものなので古代超人にそのまま適用することができません。
そこで格闘ゲームのキャラクター選択画面のようにフォーカス中のキャラクターはカラー、そうでないキャラクターはモノクロになる演出を採用しました。
発光するよりも主役が目立つので満足しています。
背景の描き込み
ブラック軍団では背景を1色で塗り潰していました。
これは発光を目立たせるための処置であり、フォーカス方法を変えたドット絵には不要な配慮です。
そこで新作の背景には薄明り個所の描き込みを追加。
アクセントにしました。
制作データ比較
最後に数値を比較します。
制作時間は以下の通り。
2021年『ブラック軍団』 | 27.9時間 |
2023年『古代超人』 | 28.9時間 |
1時間の差がついたものの、ほとんど差はありません。
あえて制限時間と表現を変えるなら、同条件だった認識でいいでしょう。
作画したキャラクター数は以下の通り。
2021年『ブラック軍団』 | 6キャラ |
2023年『古代超人』 | 7キャラ |
新作では1キャラ増加しました。
先述の通り制作時間にはほとんど差がないため制作速度が改善されていそうです。
アニメーションのコマ数の比較は以下の通り。
2021年『ブラック軍団』 | 104枚 |
2023年『古代超人』 | 131枚 |
画像枚数だけで語るなら古代超人の方が規模が大きいと言えますが、キャラクター数が増えるとスクロールさせるコマ数も連動して増えるため、自然な結果と考えた方がいいでしょう。
体感として、同じ時間内で制作できるドット絵のクオリティが上がったと感じました。
完成に至るまでの道のりを想像しやすくなっているといいますか、答えに辿り着く早さが向上している印象です。
いろんなパターンのドット絵を制作してきたので曲がりなりにも経験値をためられているんでしょう。
やっぱりまずは量です。
それでは今回はここまで。
次の記事でお会いしましょう。