今回も『MUGEN』の世界観を描いたドット絵です。
MUGENを知らない方には申し訳ないです。
当時はそれほどハマっていました。
後半の制作に関する記事ではアンチエイリアスを利用した表現について書いています。
アンチエイリアスはドット絵をなめらかにする目的以外でも利用しがいのある技術です。
ぜひ読んでいってください。
MUGEN オロチ&ミズチ ドット絵
タイトル:『オロミズ賛歌』
制作時期:2013年~2015年
見てください、このカラフルさを!
好きなオロミズを何も考えずピックアップしていっただけでこうなってしまうのです!
冒頭で「オロチとミズチは非常に多くのキャラクターが制作されている」と述べました。
どうやって他のキャラと差をつけるでしょうか。
そう、まずは見た目ですよね。
テーマカラーを変更してみたり、派手な必殺技を使わせたり、エフェクトの美しさを追及したり、印象に残る演出を追加したり、動きを変えてみたり……。
そうやって様々な方向性で進化(?)していったオロミズたちをまとめたのがこの作品です。
30体ほどのオロミズを描いていますが、存在するオロミズのごく一部にすぎません。
そもそも総数さえわかりません。
それほどにオロミズの種類は多いのです。
まさに、ないもの以外はすべてある状態といえます。
なお、ここで言っているオロミズは基本的に「凶悪キャラ」です。
ゆえにエフェクトや演出ありきです。
凶悪キャラについては過去記事で触れているので、ドット絵と合わせてぜひ見ていってください。
ミズチタイプMとマハタヨが前作から続投しています。
コンセプト
ステンドグラス風のキャラクター一覧というコンセプトです。
まず、MUGENオロミズの特徴を踏まえ、キャラクター本体でなく「キャラの個性を構成している要素」を重視すべきだろうと考えました。
オロミズ本体がほぼ同じドット絵であるのはそのためです。
基本的な部分を統一しオロミズの特性によって部分的にカスタマイズすることで、どういった個性を持つキャラクターなのかを表現できるようにしています。
さらに、キャラクターのエフェクトや演出は差別化のために制作者の方々が力を入れた部分でしょうから、そこをドット絵でしっかり描き切ろうと決めました。
エフェクトを中心とした「美しさ」については元キャラの時点で充分追及されている場合が多く、別の方向性で表現しなければなりません。
ステンドグラスならば美しいイメージがあり、ドット絵らしいデフォルメ表現、キャラクターを並べる構成にもぴったりです。
他のこだわりポイントとして、それぞれのキャラクター名と制作者名を作品に入れています。
オロミズは数が多すぎるので名前やコンセプトが被ったキャラクターが存在している可能性があります。
どのキャラクターを描いたのか曖昧にならないよう配慮しました。
私はMUGEN絵ではキャラクター名と制作者名を何らかの方法で紐づけられるようにしています。
キャラクターや制作者を応援する気持ちでドット絵を描くので、作品を見た方に「これ、どっちの○○だ?」なんて感想を抱かれると困るのです。
キャラクター一覧
描いたキャラクター名を紹介します。
1段目左
左上から
- サンダーボルト
- オロチ グレードスリー
- フラウロス
- ミズチTYPE-M
- Joutenchi
1段目右
左上から
- クォーター・バンディット
- アバドン
- Bhava-agra
- 歌うオロチ
- Legend Mizuchi
2段目左
左上から
- Devils eye
- Helios the Sun Chaos Shiny Orochi
- qzy Trade Orochi
- U-ミズチ(ultimate-mizuchi)
- MAHATAYO
- ミズチグレードアイ(闇モード)
2段目右
左上から
- ファントム(Phantom Mizuchi JP)
- Master Mizuchi
- ミラージュ
- ミズチグレードアイ(光モード)
- ハスター
- Lori-OROCHI
3段目左
左上から
- インフィニティ・ミズチニオン
- 蛟竜
- オロチヘッド
- 巨大オロチ
3段目右
左上から
- ice G OROCHI
- The Lost Of Wonderful Heaven
- ミズバチ
- 神ミニチ
- オロチボール
アンチエイリアスでガラスの色味と光の透過を表現
『オロミズ賛歌』はアンチエイリアスをやや過剰にかけている作品です。
というのも、アンチエイリアスによるドット絵の「ぼかし」を利用する狙いがあったからです。
目的が違えばもはやアンチエイリアスと言わないかもしれませんが……。
『オロミズ賛歌』で置いたアンチエイリアス(っぽい)ドットの役割について説明していきます。
アンチエイリアスとは
まずアンチエイリアスについてざっと説明します。
ドット絵は解像度が低いためドットの角が目立ち、見た人にギザギザした印象を与えやすいです。
このドット絵のギザギザして見える部分を「ジャギ」と呼びます。
ジャギによるドット絵のギザギザ感を軽減するために使う技法が「アンチエイリアス」です。
ジャギ消しとも呼ばれます。
具体的にどうするのかというと、ギザギザに見える個所に中間色のドット絵を置きます。
ドット同士の色差が大きいとドットの角が目立つわけですから、中間色を間に挟むことで色差を小さくしてなめらかに見せるのです。
下の画像をご覧ください。
左がアンチエイリアスなし、右がアンチエイリアスをかけた画像です。
左の方がギザギザしていて、右はなめらかに見えないでしょうか。
白背景に黒三角形が描かれた画像で、白色と黒色の境界部分でドットの角が目立っています。
右では白色と黒色の境界にグレーのドット、すなわち中間色のドットを置いています。
これがアンチエイリアスのドットです。
『オロミズ賛歌』でのアンチエイリアスの役割
『オロミズ賛歌』では以下のいずれかもしくは複数の目的を持ってアンチエイリアスをかけています。
- ドット絵のギザギザ感の緩和
- ステンドグラスの色味付け
- 光の透過表現
順番に説明していきます。
ドット絵のギザギザ感の緩和
本来のアンチエイリアスの目的がジャギを目立たなくすることです。
『オロミズ賛歌』もほとんどはこの目的でアンチエイリアスをかけています。
『オロミズ賛歌』はステンドグラス風の作品なので、鉛線を表現し主線が黒色です。
黒線は塗り色との色差が大きくジャギが目立ちやすいため、黒線と塗り色の間に暗めの色を置いてなめらかに見せています。
上の画像では黄色のマント部分が一番分かりやすいでしょう。
例えば矢印部分で、塗りの黄色と黒線の間に暗い黄色を中間色として置いています。
1色でなめらかにならないと思った場所には2色の中間色を使っていますね。
ステンドグラスの色味付け
上の画像の枠内を見てください。
日食のアンチエイリアスに黄色が使われています。
「あれ?」と思った方がいるのではないでしょうか。
太陽が白色で線は黒色なのだから中間色はグレーではないか、と。
「中間」色と呼ばれてはいますが実際のところ、自然に見えれば何色でもいいのです。
様々な色を組み合わせていかないと、かえってドット絵が単調な色合いになってしまうくらいです。
日食時の太陽にギラギラとした印象を与えたくて、ここでは黄色でアンチエイリアスをかけました。
黒線沿いに黄色が少し入っただけなのに、太陽全体が黄色系統に見えてきます。
光の中心部分(光が最も強い個所)の表現に白色がよく使われます。
こうやってほんのり色をつけると「強い光を受けて中心部が白く見える色付きのガラス」を表現できます。
光の透過表現
これは塗りのグラデーションに近い考え方かもしれません。
上の画像の枠線内の黒線は45度の直線です。
ドット絵の斜め線としては最高峰のジャギが少ない線で、ここにアンチエイリアスをかける人はほぼいないでしょう。
しかし、画像では黒線をなぞるように水色のドットを置いています。
これはアンチエイリアスを過剰にかけるとドット絵がぼやけてしまうデメリットを利用し、あえてそうしているのです。
ステンドグラスを透過する光で発生する「にじみ」を表現しようとしているのですね。
前項で説明した色味付けを兼ねています。
試しに枠内のドットを消してみました。
該当の黒線が明らかにくっきりしました。
黒線がはっきりし過ぎていて青みも消え、周りから浮いてしまっているように見えませんか?
『オロミズ賛歌』全体の画風と照らし合わせると、ちょっと違うかな?という印象を受けます。
まとめ
アンチエイリアスのかけ方というより、アンチエイリアスをかける際の考え方のような話をしてきました。
簡単にまとめると、アンチエイリアスで
- ギザギザ感
- 色合い
- ぼかし、にじみ
をコントロールできます。
こういった観点からも効果を考えてドットを置いていきたいですね。
アンチエイリアスをかけているときは未だに不安になります。
アンチエイリアスをかけすぎてドット絵が汚く見えないか、逆に不足している個所はないか。
ドットを置いた位置がお粗末でないか、そもそも自分が基準と思っているアンチエイリアスの量は適切なのか。
例え最良の答えを出せていなかったとしても、置いたドットに込めた意味だけは忘れないようにしたいものです。