今回は『マジック:ザ・ギャザリング(MTG)』のドット絵です。
MTGのオリジナル種族「エルドラージ」を描きました。
今は新セットが世間を騒がせていますがMTGにおけるヴィランは新ファイレクシアだけではありません。
エルドラージはひと昔前に(あらゆる意味で)猛威を振るった人気クリーチャーです。
ストーリーではすでに倒されてしまったものの、カードとしてはビートダウンや踏み倒し系のデッキでまだまだ活躍中。
エルドラージが再フィーチャーされた暁には物語とメタゲーム両方で繁栄を取り戻すでしょう。
MTG作品が続いているため飽きが来ないように非カードタイプのドット絵にしてみました。
新鮮味はあると思いますので、ぜひ見ていってください。
『マジック:ザ・ギャザリング(MTG)』からエルドラージトークン生産機「荒廃を招くもの」
タイトル:『エルドラージ花札・芒』
制作時間:49.9時間
エルドラージはMTGストーリーにおける強大な捕食者。
プレインズウォーカーのごとく次元を渡り生命とマナを食らい尽くします。
祖と呼べる伝説のエルドラージから分岐した眷属が無数に存在し、その眷属が小型のエルドラージを生成……と、数が多いのも厄介な点。
ゼンディカー次元に封印されていましたが復活し大暴れしました。
別次元・イニストラードにまで被害が及んだところでプレインズウォーカーの活躍によって鎮圧され、現在のストーリー軸からは姿を消しています。
荒廃を招くもの
「荒廃を招くもの」は伝説のエルドラージ・ウラモグの眷属です。
2015年に発売されたセット『戦乱のゼンディカー』にクリーチャーカードとして収録されていました。
追放領域のカードを墓地に移動させることでエルドラージトークンを生み出す効果を持っています。
イラスト違いのプロモ版も存在。
どちらも大量の小型エルドラージを引き連れていることから、血族を生産する能力に長けていると推測されます。
造形だけでなくカードとしても好きなエルドラージ。
目を見張るほど強いカードではありませんでしたが、スタンダード時代はこれを使おうとデッキを弄っていました。
実は過去にもドット絵を描いていたり。
こちらはカードイラスト準拠です。
ドット絵の説明
この作品は「荒廃を招くもの」のキャラクタードット絵です。
「エルドラージ+花札」のコンセプトで制作しました。
絵柄は「芒(すすき)」。
久しぶりの非カードタイプMTG作品になります(カードではあるけど)。
日本的な絵柄とエルドラージを合わせる発想は『ストリクスヘイヴン:魔法学院』の日本画ミスティカルアーカイブから。
コジレックの審問の影響をもろに受けています。
白くなった丘
基本土地・荒地をオマージュして丘を白色にしました。
ウラモグの眷属にマナを吸われた土地は真っ白に荒廃するようです。
具体的なイメージは「オラン=リーフの廃墟」。
丘を荒廃させるアイディアがこのドット絵の全てといっても過言でないくらい大切な要素になっています。
余談ですが花札のこの絵柄、私はずっと「山」だと思っていました。
すすきが生えている丘だそうです。
遊んでいるときは詳細なんて気にしたことがなかったので目からうろこでした。
よく分からない曲線はすすきの穂だったのですね。
[制作記事]小型エルドラージの歩行法の検討
今回のドット絵は小型エルドラージの歩行アニメーションをメインに据えています。
課題は「どのように歩かせるか」。
対象のエルドラージは荒廃を招くもののイラストに描かれているきりで、動画資料はありません。
無から有を作るのはさすがに難しいことから、実在する生き物をモデルにすることにしました。
検討内容をここに記録しておこうと思います。
初期案:アリの歩法
真っ先に思い付いたのが昆虫のアリです。
アリの歩き方が参考になるのではと考えました。
小型エルドラージは虫のようにワラワラ出現し、上位エルドラージの手足となって黙々と働きます。
そして能力(生け贄にするとマナが出る)から漂う消耗品感。
……アリっぽくないですか?
荒廃を招くものが生み出すトークンに関しては外見もアリに似ていますしね。
脚の数でNG
方針が決まったのでさっそくアリについて調べてみました。
アリは3本の脚で体を支えつつ残りの3本を動かして進むそう。
なるほどと思ってエルドラージを見ると……
4本脚なんですよね。
腕を含めると6本あるんですけど歩行には使っていなさそうです。
本数の置き換えを想定しながら調査を続けていると脚が欠けたアリは歩けないと分かりました。
4本脚だと駄目になる歩法を参考にするのはさすがに無理。
そもそも6本脚の動物が昆虫と定義されるらしく、昆虫を参照する限り同じ問題にぶつかりそうでした。
見た目や習性からモデルを決めようとしたアプローチが失敗だったようです。
脚の数からモデルを決定
それでは脚の数が一致する生き物からモデルを選ぼうということで、最終的にはトカゲに決めました。
地を這うような移動が小型エルドラージのイメージに近かったことも決め手です。
出来上がったのが2本の脚を軸にして残り2本の脚を動かすモーション。
何とか納得できる動きにすることができました。
他に参考になったのはインディーゲーム『Kenshi』に登場する「スキンスパイダー」という生物です。
4本脚で蜘蛛っぽい見た目。
昆虫寄りなので構造的にもイメージをつかみやすかったです。
架空生物を描く場合はゲームなどに登場するモンスターをモデルにするのもいいかもしれません。
歩行方法は脚の数で決めるのがいい。
賢い人なら最初から見当がつきそうなことをしっかり理解した回でした。
エルドラージは「常識を冒涜するような似姿をしている」そうなので、一般的な生物を当てはめることがそもそも難しかったのかもしれません。
想像力や知識でカバーしながらアウトプットできるクリエイターさんはやっぱりすごいですね。
それでは今回はここまで。
次の記事でお会いしましょう。
どうせモダンホライゾン3に超強いエルドラージが大量収録されるでしょう。