『キン肉マン』がWEB漫画として復活し、あっという間に10年が過ぎました。
現シリーズの超神戦もいいですが、私が好きなのは「完璧超人始祖編」です。
相手サイドの完璧超人たちはキャラが立っていて風格も抜群。
エリート集団という説得力がありました。
それに比べて超神の体たらくときたら……。
今回はそんな完璧超人から無量大数軍(ラージナンバーズ)の二人を選出し、ドット絵に。
過去にマックス・ラジアルを描いているので計3名になりました。
いずれも大好きなキャラクターです。
ぜひ見ていってください。
本記事は漫画のネタバレを含みます。
キン肉マン「完璧超人始祖編」はかなり昔に完結済みですが、未読の方はご注意ください。
漫画『キン肉マン』から「グリムリパー」と「ターボメン」の完璧超人タッグチーム「ジョン・ドウズ」のドット絵
タイトル:『ジョン・ドウズ』
制作時間:11.8時間
「ジョン・ドウズ」は漫画『キン肉マン』に登場する完璧超人「グリムリパー」「ターボメン」のタッグチーム。
試合中のトラブルによって急きょ結成されました。
チーム名の意味は「名無し」。
「強い者同士のタッグに名前はいらない」という信条を表した名前です。
実力は確かで即席チームとはいえ強く、バッファローマンとスプリングマンの名タッグを苦しめました。
黒ずくめの超人の組み合わせという点も格好いいので個人的に高評価です。
ドット絵『ジョン・ドウズ』の説明
劇中でジョン・ドウズが放ったタッグ技「イグニシォンドレス」への移行シーンをデフォルメドット絵に仕上げました。
イグニシォンドレスは
- グリムリパーがターボメンの頭上に逆さになってセッティング。
- ターボメンが振動。
- 振動のエネルギーでグリムリパーが回転し炎をまとう。
- そのままの勢いで相手に突撃し、斬撃。
の流れで発動します。
描いたのはフェーズ3まで。
階段ピラミッドリングを背景にしたので空が見えています。
キャラクター紹介
グリムリパー
上側で逆さになっているのが完璧・無量大数軍のイリュージョニスト「グリムリパー」。
異名は”完幻”。
肩書き通りの多彩な技を持つとともに、見た目からは想像できないほどの握力を誇ります。
無量大数軍さえ上回る大物ということが後に判明。
ジョン・ドウズのタッグ技を単独で使用するほどのスペックを秘めていたことが分かります。
ターボメン
下側がメカ超人「ターボメン」。
異名は”完遂”。
受けたダメージを蓄積・増幅して相手に返す機構を持ちます。
利敵行為と思わせて相手を自壊させる強力な技として機能していました。
ギミック一辺倒でなく派手な落下技もあり、連戦も納得の引き出しが多い超人といえるでしょう。
話は変わりますがターボメンがグリムリパーの正体に気付いた際、週を跨いだとたんに冷や汗ダラダラ状態になっていて笑いました。
前の週では冷静かつ無表情に分析を進めていたのに……。
こだわりポイント
帽子が回転して見えるように着色を工夫しました。
帽子を上から見ると円を八等分したデザイン。
45度のラインで区切られた状態といいましょうか。
アニメーションではグリムリパーを45度ずつ回転させるわけですが、この帽子を回転させてもラインの位置は変わりません。
つまり、帽子だけ全く動いていないように見えてしまうのです。
この問題を解決するため、帽子だけキャラクター正面側が明るくなるように着色。
色の変化で回転しているように見せる仕組みです。
光源の位置が不明確になってしまいますが、そこは絵のだましということで。
他にいい案や定石がありましたらアドバイスお待ちしています。
速度が増していく回転アニメーションの制作
今回のドット絵のメインはキャラクターの「回転」です。
タッグ技の掛かりですから加速力が増していく演出が不可欠。
段階的に速度を上げていくアニメーションを構築しました。
くしくも同じ『キン肉マン』の登場キャラクター「マックス・ラジアル」の制作で学んだ知識を生かして簡潔にまとめ上げることができましたので、ここに記録します。
以降はドット絵エディタ『EDGE2』を使った解説です。
ご自身が利用しているツールの機能に置き換えてご覧いただければ幸いです。
基本アニメーションの制作
ターボメンの頭上でグリムリパーが回転するアニメーションを最初に制作します。
グリムリパーは8コマ、ターボメンは2コマで構成。
2つを合わせて8コマのアニメーションを構築しました。
この8枚を1セットとし、速度を変えながら複数セットをつなぎ合わせて最終的なドット絵を制作します。
ディレイでの調整
ドット絵のアニメーション速度といえばコマの表示時間です。
EDGE2では「ディレイ」と呼ばれています。
ディレイの値を3、2、1と段階的に小さくしていけば、次第に早くなっていくアニメーションを構築できます。
説明用に画像を並べましたが変更するのはディレイだけであり、画像は8枚を使い回せます。
作画枚数を節約できるのがいいですね。
ごく小さいディレイで発生する問題点
ディレイを短くすれば速い動きを表現できるかというと、そうとは限りません。
GIFアニメーションの再生に使用するWEBブラウザ等のツールには、フレームレート(1秒あたりに表示できるコマ数)の上限が決まっています。
例えばほとんどのブラウザで、画像1枚当たりの表示時間は0.02秒が閾値。
これより短い表示時間になると想定通りに再生されません。
この問題は過去記事で取り上げています。
今回のドット絵で用いるディレイの単位は1/24秒。
最小の値1を設定したとき、表示時間は約0.04秒。
ブラウザ仕様の下限値0.02秒の倍の時間を確保できているため、とりあえずは問題なしと思っていいでしょう。
コマ数を減らしてさらなる速さを
ディレイでの調整には限度がある話をしました。
では、ディレイを最小値1にしても遅いと感じたなら、どうやって速度アップを図るべきでしょうか。
答えはアニメーションのコマ数です。
先ほどまでの回転アニメーションは8コマで構成されていました。
枚数を半分の4枚に変更すると1回転にかかる時間が半分になるため、速度が倍になったといえます。
この4コマを最小ディレイで再生すれば、設定値を超えた速度表現が可能でしょう。
ディレイとコマ数を組み合わせた加速アニメーション
ここまでの内容を踏まえ、以下を組み合わせてアニメーションを構築することにしました。
- ディレイを小さくしていくことで段階的に加速していく回転アニメーション
- コマ数を減らして最小ディレイを設定した最高速回転アニメーション
回転し始めの段階ではディレイをどんどん小さくして加速感を出します。
コマ8枚を1セットとし、セット単位でディレイを変更しました。
同速度帯での回転時間を増やしたい場合は同セットを複製します。
最後はコマ数を減らして最小ディレイを設定したアニメーションをつなぎ、最高速への到達を表現しました。
本ドット絵で助かったのはターボメンの動きが速くなっても問題なかった点です。
設定したディレイはコマ全体に反映されるので、グリムリパーの回転速度を上げるとターボメンの振動速度も上昇してしまいます。
今回は振動に応じてグリムリパーの回転速度が増す演出として、うまく連動できました。
ターボメンの速度を保ちたいならディレイを安易に変更できません。
回転速度をキーにしたドット絵となり、くしくも同じキン肉マンのドット絵、しかも完璧超人であるマックス・ラジアルの経験が生きました。
まさかの連携です。
ちなみに劇中の完璧超人は仲間意識がなく、グリムリパーはターボメンを見殺しにしていました。
クオリティが低い作品を公開しようものなら完璧超人の逆鱗に触れて、私も粛清されるかもしれません。
ここはいつも通り等倍のドット絵を置いて、さっさと退散しましょう。
それでは!