『マジック:ザ・ギャザリング(MTG)』では(というよりトレーディングカードゲームでは)強いカードが人気になりがちですよね。
カードとしてではなくストーリーの登場人物として見た場合、皆さんには好きなキャラクターがいるでしょうか。
私は「エリシュ・ノーン」が大好きです。
人間離れした外見の中にある女性的なフォルムがとにかくもう……ちくしょう!
そんな彼女が最新セット『ファイレクシア:完全なる統一』で再登場。
ようやくお目にかかることができ、感動です。
さて、ここまでの流れから察する通り今回の題材はエリシュ・ノーン。
久しぶりにMTGのドット絵を描きました。
エリシュ・ノーンは3回目の制作になりますので題材として取り上げた回数は堂々の単独首位です。
描き慣れている(?)だけに満足な出来になりました。
ぜひ見ていってください。
『マジック:ザ・ギャザリング(MTG)』から新ファイレクシアの指導者「機械の母、エリシュ・ノーン」
タイトル:『機械の母、エリシュ・ノーン』
制作時間:30.4時間
MTG世界にはファイレクシアというヴィラン勢力が存在しています。
ファイレクシア人たちは血の代わりにファイレクシアの油が流れている肉と機械の融合生命体。
多元宇宙をファイレクシア化させる目的で行動する危険な集団です。
ストーリーで一度は滅んだ後に別の次元を乗っ取るかたちで復活、新ファイレクシアとして再興しました。
最新セット『ファイレクシア:完全なる統一』ではいよいよ他次元への侵略フェーズに移行。
野望を阻止すべく立ち上がった人気プレインズウォーカーが次々とファイレクシアの手に落ちる衝撃の展開となっています。
対ファイレクシア勢力のみんな、もっと真面目にやって
エリシュ・ノーン
「エリシュ・ノーン」は新ファイレクシアの支配者階級・法務官のひとりです。
象徴する色は白。
他法務官との権力争いに勝利したことで実質的な指導者になりました。
今のところ直接的な戦闘がほとんどないので個人の脅威度は未知数となっています。
コンセプト資料を見る限り12フィート(約3.6m)くらいの身長がある模様です。
最新セットにおいては「機械の母、エリシュ・ノーン」としてカード化。
5マナ4/7警戒という現代MTGの高スペックに加え、相手の誘発型能力を妨害しつつこちらの能力を追加で誘発させる効果を持っています。
平等をつかさどる白でありながら不平等を強いる点は過去にカード化された時と同様で、彼女のフレーバーなのかもしれません。
プレビュー公開時はトップ神話レア感が漂っていたもののふたを開けるとあまり活躍していない印象です。
とはいえ代用しにくいカードで間違いなく、設定負けしない程度には強いデザインになっていると思います。
少なくとも私はイラスト込みで絶対に欲しかったのですが普通に自引きできませんでした。
悲しい。
ドット絵の説明
この作品は実物のカード「機械の母、エリシュ・ノーン」をドット絵化したものです。
これまで描いてきたカードが旧枠だったのに対しこちらは新枠(特殊フレーム)。
旧枠以外から選出されたカードの初ドット絵です。
前半はステップ・アンド・コンプリート・フォイルを模したアニメーション。
新ファイレクシアのシンボルが浮き上がります。
後半はファイレクシアの油が侵食。
触れた個所のシンボルがプリズム風のエフェクトに変わります。
全体のビジュアル
全体のビジュアルはボーダーレスコンセプトアート法務官カードのデザインに準拠。
サイズはこれまで制作してきた旧枠ドット絵に合わせました。
旧枠と新枠では実はテキストエリアの広さに差異があります。
旧枠サイズに詰め込んだことで各要素の画面占有率や文字の折り返し位置など実物と乖離する点が多く発生してしまいましたが、そこは割り切っています。
ドット絵といってもカードである以上、サイズ変更は裏面デザインの変更くらい許されませんからね。
背景のカラー
背景の中心部(色が濃い箇所)には旧枠ドット絵に使用した色を流用しました。
柄もオマージュしています。
ボーダーレスコンセプトアート法務官カードはフレームがなくカードの色を判別しづらいからか、差し色で視認性を高めているようです。
旧枠と同じ色を使うことでデザイン違いのカード同士に互換性を持たせました。
[制作記事]エリシュ・ノーン作品の歩み
私はMTGに登場するキャラクターの中でもエリシュ・ノーンがひときわ好きで、ドット絵も今回が3作目です。
私は様々なタイトルを描いているので、特定のキャラクターが3回も採用されているというのは本当に異例といっていいでしょう。
偏って描いているのですから初作よりは2作目、そして2作目よりも最新作とクオリティも向上していてほしいのが本音。
ここまで読んでくれている皆さまはおそらく私と同じくノーン様の大ファンでしょうから、全てのエリシュ・ノーンを見ていただくことも兼ねて過去作を振り返っていきます。
1作目
記念すべき最初のエリシュ・ノーン。
カードタイプを確立する前だったため通常のキャラクタードット絵になっています。
「総くずれ」というカードのような美しい絵にしたかったのですがうまくいきませんでした。
エフェクトが特にいまいちで、量、形状、光らせ方、表示時間・タイミング、全てがかみ合っていないと思います。
当時の記事で反省を述べていますね。
満足度が低かった作品ですが制作で得たものはたくさんありました。
まずは何もないところからじんわりと出現するエフェクト。
このドット絵には合わなかったものの、いずれ何かに使えるなと思いました。
次にエリシュ・ノーンのビジュアル。
ドット絵を描くにあたってたくさんの資料を確認する中で「コンセプトアート版の外見が一番好み」という結論に。
自分が描くべきノーン様の御身が明らかになりました。
2作目
2作目のエリシュ・ノーンも非カードタイプです。
この頃はカードタイプのドット絵を制作していたものの、用意していたテンプレートは旧枠オンリー。
新枠カードしか存在しないエリシュ・ノーンには適用できませんでした。
ノーン様の外見はここでコンセプトアート寄りに変更。
キラカードのようなドット絵を目指して背景にプリズム風アニメーションを搭載しています。
当時の記事によるとキャラクターの美しさには特に満足していたようですね。
今見るとキラカードを目指していた割にカード感がないなと。
せいぜい背景がプリズムのキャラクタードット絵といったところ。
そもそもデザインが悪いためカードらしく見えないんじゃないでしょうか。
3作目(最新作)
3作目はカードタイプ。
MTGの商売方針が変わったのか全面アート・特殊フレームのカードが数多く登場したことで、テンプレートにとらわれずにカードタイプのドット絵を制作できるようになりました。
演出では過去作の手法を拝借。
何もないところから浮き出るエフェクトを1作目から、輝くプリズムエフェクトを2作目から採用しています。
ここまでのカードおよびノーン様のドット絵を統合した、現時点での集大成といえましょう。
一通り見返してみて、さすがに最新作のクオリティが一番高いという感想を持ちました。
作画だけで言っても過去作エリシュ・ノーンにはプラスチックのような軽さを感じます。
ただし、この結果をもって腕が上がったとは言い切れません。
3作目はいわゆる模写の分類。
体感で1.5倍程度はうまく描けている印象です。
プロが設計したカードデザインをそのまま利用しているわけですから、2作目の反省点(デザイン面の難)が解消されることも必然。
スキルアップうんぬんは振り返らず、ちゃんとした新作を作れた程度に捉えておくのがいいのでしょうね。
それでは今回はここまで。
次の記事でお会いしましょう。
「機械の母、エリシュ・ノーン」のボーダーレスコンセプトアート法務官カード版ステップ・アンド・コンプリート・フォイルを自引きしたいんですけど何とかなりませんか。
世間では描けば出るなんて冗談がありますけど、描いたところで確率が上がった気すらしませんよ。。
トホホ。