ドット絵

『MTG』エリシュ・ノーンドット絵/ラフアニメでイメージを固める

グワー!

ついに来てしまいました。

ブログを開設して約1ヵ月半。

ここにきて「なんかイメージと違うドット絵」が完成しました。

むしろ、脳内にたいしたイメージがなかったからそうなったんだと思います。

こういうのは私にとって頻繁にあることなので驚くことではありません。

最近はかなり調子よくドット絵を完成させていたので、とうとうきたか!といったところです。

描いたドット絵は大人気トレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング(MTG)』から「エリシュ・ノーン」です。

エリシュ・ノーンはイメージ通りに描けたのですが、エフェクトとの組み合わせがイマイチでした。

その辺りの話を記事後半ですることにしましょう。

『マジック:ザ・ギャザリング』から「エリシュ・ノーン」のドット絵

大修道士、エリシュ・ノーン

タイトル:『大修道士、エリシュ・ノーン』

制作時間:30.5時間

下々のファイレクシア人がエリシュ・ノーンに跪くシーンを描きました。

エリシュ・ノーンがいる新ファイレクシア次元はおどろおどろしい場所ですが、明るい色で統一しています。

エリシュ・ノーンのテーマカラーが白だからです。

キラキラとした光のエフェクトもつけて、エリシュ・ノーンの神々しさを表そうとしました。

描いた本人が言うのもあれですが、ドット絵よりカードイラストの方が圧倒的に美しいので知らない方はぜひ調べてみてください。

『大修道士、エリシュ・ノーン』『総くずれ』の2枚のカードイラストがおすすめです。

キャラクタービジュアル

エリシュ・ノーン

エリシュ・ノーン

『大修道士、エリシュ・ノーン』というエリシュ・ノーン自身のカードイラストを参考にしました。

MTGの登場人物の姿にはイラストレーターの解釈や画風が大きく反映されます。

『大修道士、エリシュ・ノーン』のカードイラストは怪物度が抑えられ、女性らしい美しさが引き立っています。

赤い腰布が地面に触れて汚れないように従者が持ち上げているのもまたいいですよね。

このビジュアルを選んだのは理由がありまして。

『大修道士、エリシュ・ノーン』のカードにはテキストが架空言語である「ファイレクシア語」に置き換わったバージョンが存在します。

こういうMTGの遊び心に感銘を受け、私の中でエリシュ・ノーンの容姿が『大修道士、エリシュ・ノーン』のカードイラスト一択になりました。

とはいえ、他のカードで描かれる怪物のようなエリシュ・ノーンも大好きです。

こだわりポイント

カードイラストを元にしたドット絵

本作はエリシュ・ノーンが登場するカードのイラストをいくつか合成したようなドット絵にしています。

ベースは『相応の敬意』というカードです。

白めの雰囲気は『総くずれ』から。

以下、元ネタのカードリストです。

  • 大修道士、エリシュ・ノーン
  • 相応の敬意
  • 総くずれ
  • ノーンの僧侶

描き込んだ静止画と簡素なエフェクトの合成

本作は私の中では描き込みを重視した作品です。

一方、エフェクトは簡単な図形を単純にアニメーションさせています。

エフェクト

背景が透けて見える描き込みこそありますが、ただの三角形や四角形がピコピコ明滅しているだけです。

圧倒的画力を誇るMTGのカードイラストをドット絵の描き込みで表現するのだと付加価値があまりにない(むしろ劣化しているかもしれない)ので、レトロさを取り入れようとしました。

ギャップのある組み合わせに手ごたえを感じつつも、今回はイマイチな結果で残念でした。

詳細は以降の記事で説明します。

ラフアニメーションで完成イメージを固める

『大修道士、エリシュ・ノーン』は、描き込んだ静止画とエフェクトの親和性が低いのが最大の問題と捉えています。

静止画単体、エフェクト単体で見るとそこまで悪いようには見えません。

しかしながら2つを組み合わせたときに、このエフェクトでは静止画の雰囲気をあまり引き出せていませんでした。

具体的なアニメーション方法について何も考えていなかったのが原因です。

試行錯誤して時間を消費した上、当初予定していた表現からずれてしまいました。

1枚のラフだけでは不十分

最近はラフで全体のイメージを固めてからドット絵を描くようになりました。

今回のラフがこちら。

ラフ

キャラクターの配置や全体的に白っぽい雰囲気は表現できていそうです。

光の固まりのエフェクトが白い四角で描かれています。

「光の固まりをキラキラと光らせよう」とアニメーション内容も決めていました。

しかし、ラフを見てエフェクトを描こうとすると手が止まってしまいます。

アニメーション作品である以上、このラフは「瞬間」の内の1枚に過ぎません。

どんな風にキラキラするのか1枚の静止画ラフからはイメージできなかったのです。

完成図をイメージできない理由は?

前回、シノのドット絵を描いた際には「妖怪を歩かせる」「炎が燃え盛る」程度の決定事項から問題なくアニメーションが完成しました。

今回の「キラキラ光る」では何が違ったのでしょうか。

試行錯誤した中で

  • パターンやバリエーションが多岐にわたること。
  • 規則性や密度によって全体の印象が変わること。

の2点により、イメージを頭の中だけで完成させにくくなっているとわかりました。

パターンやバリエーションが多岐にわたる

「歩く」「炎が燃える」に比べ、「キラキラ光る」は具体的なアニメーションを想像できる表現ではないと気付きました。

「キラキラ光る」でも星が輝くのとダイヤモンドが輝くのでは印象が違ってきます。

下のアニメをご覧ください。

キラキラエフェクト

どれも「キラキラ」で表せそうなエフェクトですが、題材によって合う・合わないがあると想像できます。

ダイヤモンドを光らせるのに上段のアニメーションを選ぶかというとおそらく選びません。

作品に合う光り方を最初から決めていないと「キラキラ」アニメの制作が厳しかったのです。

一方、「歩く」「炎が燃える」の動きにはそれらしく見える定石がありますし、バリエーションもさほどありません。

ざっくりとした計画で作業が止まることも、完成したアニメーションがイメージとかけ離れることもありませんでした。

規則性や密度によって全体の印象が変わる

「キラキラ光る」エフェクトが全体の印象を決定づける言わば準主役だった点も挙げられます。

なぜならば、この類のエフェクトは集合体として作品の雰囲気を演出するために使用されるからです。

下の2つのアニメを見比べてみてください。

キラキラアニメA
キラキラアニメB

キラキラアニメの出現位置は同じですが、印象が大きく違います。

上のアニメは各キラキラの出現と消失のタイミングを合わせたアニメ、下はタイミングをずらしたアニメです。

上は人工的な明かりを連想しませんか?

下のアニメからキラキラの個数を減らしたものも見てみましょう。

キラキラアニメC

元のアニメより静かな雰囲気になりました。

このように、エフェクト同士の兼ね合いを見て全体をコントロールしなければならないのが「キラキラ光る」エフェクトだったわけです。

対して「歩く」「炎が燃える」のアニメーションは周りに気を配る必要がそこまでありません。

単体でそうと分かるように描けているかが重点です。

エフェクトのラフはアニメーションさせてみる

アニメーションさせる予定のエフェクトは全体の雰囲気を予想できるようにラフ時点で軽く動かしてみるべきと思いました。

量、規則性などを変えながらアニメーションさせて、作品に馴染むものができたら描き込みを開始します。

ラフアニメーション

一例として、先ほどのラフを動かしてみました。

ドット絵では、イマイチなラフを描き込んでもイマイチというパターンが多いので、ラフ段階で納得するまで検討したいところです。

この時点ならエリシュ・ノーン側をエフェクトの雰囲気に寄せられるメリットがあります。

最後に、私がエフェクトで試行錯誤していた様子をお楽しみください。

エフェクト制作での試行錯誤

『大修道士、エリシュ・ノーン』では、アニメーションの具体的なプランがない状態でエフェクトの描き込みに突入しました。

インプットはこちらのラフのみ。

ラフ

動かすイメージが全く湧かなかったので、ざっくりしたエフェクトを乗せてよさそうなものを探すことにしました。

パターン1

デモエフェクト1

最初にテストしたのは放射状に広がるエフェクトです。

魔法の発動のような印象になりボツにしました。

明らかに「キラキラ」ではありません。

パターン2

デモエフェクト2

次は全体に小さい光の粒が明滅するエフェクトです。

パターン1では「放射状に動く」規則性を持たせたのが、そもそも失敗だったと学習。

出現方法にランダム性を持たせました。

結果はボツです。

エフェクトの密度が高すぎて慌ただしく感じました。

また、光がなぜか丸くなっています。

ラフの四角はどこにいったんでしょうか。

丸い形状のせいか光り方がまろやかすぎるとも思いました。

パターン3

デモエフェクト3

パターン3は放射状に広がるエフェクトです。

パターン1でボツにしておきながら、さっそく堂々巡り。

これが怖いんです。

沼にはまった感じがします。

ただ、パターン2での学びを活かし、放射状に広がる光の出現タイミングにランダム性を持たせていますね。

光の形状も四角に戻しています。

パターン4

デモエフェクト4

ここで全体の雰囲気でなくエフェクト単体のアニメーションを決める方向に舵を切ったようです。

単体のエフェクトを決めてからそれを散りばめて全体の雰囲気を窺おうとしています。

描いてみて「お、いいじゃん」と思ったのを覚えています。

この「光が弱まった際に背景が透けて見える演出」は最終的に採用されました。

パターン5

デモエフェクト5

パターン4に「キラキラ」感が少ないのが気になり、他パターンも探ることに。

キラキラしてはいますが、エリシュ・ノーンよりも合う題材があるんじゃないかなあとボツにしました。

パターン6

デモエフェクト6

パターン6は割れたガラスが落ちてくるようなエフェクトです。

これまでの試行で角ばった図形の方がキラキラ感が出ると結論付け、三角形に変更してみました。

結果はボツです。

エフェクトの状況をエリシュ・ノーンと結び付けられませんでした。

最終結果

最終的なエフェクトはこちらです。(冒頭の作品と同じです)

最終エフェクト

パターン4の明滅パターンを採用。

エフェクトは四角形。

ランダム性のある出現タイミングに決定。

四角形だけではエフェクトの密度やバリエーションの点で寂しかったので、三角形の明滅を被せることにしました。

さて、次は反省会です。

反省

試行錯誤による焦りから安易な考えに至ってしまいました。

最たるものが「もったいない思考」です。

まず、パターン4の明滅パターンを「なかなかいいじゃん」と思ったばかりに、「せっかくなので使いたい」気持ちで採用してしまいました。

パターン5をわざわざ試しているように「キラキラ感」がさほどないと承知していました。

作品に合っているかに目をつぶって採用した自覚があります。

次に、制作済みの素材の流用です。

「エフェクトの密度やバリエーションの点で寂しかったので三角形を追加した」と書きましたが、サイズを変えた四角形を散りばめる方法もあったはずです。

パターン6で三角形のエフェクトを作ってあったのでそれに飛びついたに過ぎません。

安易な選択は他にもあります。

エリシュ・ノーンの頭上に新ファイレクシアのシンボルを入れる予定はありませんでした。

新ファイレクシアシンボル

エフェクトがうまくいかなかったことで背景の空間が気になり描き加えました。

勢力シンボルをとりあえず入れる非常に安直な策です。

まとめ

1枚のラフからではキラキラしたエフェクトを具体化できず試行錯誤を繰り返した結果、思い描いていたような雰囲気を出せませんでした。

イメージをドット絵で表現しきるのは本当に難しい……。

失敗の学びをまとめると以下になります。

  • 静止画1枚分のラフではアニメの「瞬間」しか切り出していないため、イメージを具体化するに至らない。
  • 「キラキラ」エフェクトは集合体で用いて、作品全体の雰囲気を左右するタイプのアニメーション。
  • 2のようなアニメーションは、個々のアニメ内容、出現や消失の規則性、画面内に占める個数の変化で印象が大きく変わるため、脳内で完成イメージを作りづらい。
  • 対策として、修正が容易なラフ状態のうちにアニメーションを決めるのがよさそう。

割と当たり前の内容ですが、失敗してみないと整理できないものですね。

次に同様の作品を制作した際には、アニメーションラフを描いた結果を報告できればと思います。

一緒に上達していきましょう。

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