私は逆張り気質なのか、どんなタイトルにおいても人気キャラクターを避ける傾向があります。
(好きなキャラクターが人気上位にいない場合が多いので鶏が先か卵が先か、ではある)
しかしながら人気キャラクターに魅力を感じないわけではありません。
今回はパニックホラー漫画『魔法少女・オブ・ジ・エンド』に登場する敵役「魔法少女」の中から、おそらくトップを争う人気どころをドット絵にしました。
実は私も上から2番目くらいに好きなキャラクターです。
漫画を読んだ方なら間違いなく覚えているでしょう。
ぜひ見ていってください。
『魔法少女・オブ・ジ・エンド』から人気キャラ「アトラクション・M」「レパルション・M」のドット絵
タイトル:『アトラクション・Mとレパルション・M』
制作時間:31.0時間
「アトラクション・M」と「レパルション・M」は『魔法少女・オブ・ジ・エンド』に登場する魔法少女。
そっくりな見た目通り双子らしくデザインや能力も対になっています。
人間を殺す襲撃者として登場し、ストーリーが進むと主人公たちの仲間に。
魔法少女の中では活躍するポジションにいました。
ファンの間でかわいいと評判で、キャラクターグッズ化もされていた模様。
おかげでカラー資料が充実していてドット絵制作時は助かりました。
キャラクター紹介
アトラクション・M
「アトラクション・M」は引力を操る魔法少女です。
たれ目で笑顔、髪飾りやステッキはハートを模したデザインになっています。
作中では高所から獲物を引き寄せて落下死させていました。
見た目がとてもかわいいからか直接的な殺傷能力でないからか、他の魔法少女より無害な印象です。
額にナイフを突き立てられてステッキを奪われる場面は、直前まで人を殺していたにもかかわらずかわいそうでした。
パワーアップすると長身の巨乳になりますが、読者のほとんどは「戻して」と思ったことでしょう。
レパルション・M
「レパルション・M」は斥力を操る魔法少女です。
つり目でしかめっ面、髪飾りやステッキは逆ハートで、アトラクション・Mと対照的になっています。
やり取りを見るにこちらが姉。
ステッキを奪われたアトラクション・Mをカバーするように出現し、相手を吹き飛ばしました。
パワーアップ後は妹よりスレンダーだったので、体型的な対比もありそうです。
姿を見た読者は(以下略)
ドット絵『アトラクション・Mとレパルション・M』の説明
キャラクターのドット絵なので個々に焦点を当てるべきなのですが、せっかく双子設定なのでセットで描きました。
背景には両者のステッキを配置。
上側のハートがアトラクション・M所持のもの、下側の逆ハートがレパルション・M所持のものです。
持ち手部分でつなげてバーベルみたいにしました。
上が光ると引力が働いて2人がくっつき、下が光ると斥力で2人が弾き飛ばされるアニメーションに。
それぞれの魔法が発動するフレーバーに仕上げています。
吹き飛びは格闘ゲームのやられモーションを描いているようで楽しかったです。
MUGEN関連でよく描いていたな~。
こだわりポイント
2人が描かれているコミックス3巻表紙のオマージュをいくつか取り入れました。
まずは双子の位置。
左側にアトラクション・M、右側にレパルション・Mの配置は表紙イラストと同じです。
次に背景の血。
表紙では2人が持つステッキから血が滴っています。
ドット絵では背景ステッキから血を滴らせました。
実はステッキの後ろ(緑部分)にもハートが隠れています。
アニメーションのタイプの違いを考える
私は「静止画寄り」のアニメーションドット絵を描くことがほとんどです。
動きの練習をしたいので、静止画と置き換える形で静止画寄りのドット絵を描く方針にしました。
動くのなら静止画じゃないだろと思う方もいらっしゃるでしょうから説明しますと、「一部だけがアニメーションする作品」を私は「静止画寄り」と表現しています。
本来は静画でいけるドット絵に動きを加えて付加価値をちょっとつけた作品だと捉えていただければ。
しかし、より動くドット絵を描きたくなることは当然あります。
動きの大きいドット絵を私は「アニメーション寄り」と呼んでおり、今回のドット絵『アトラクション・Mとレパルション・M』はアニメーション寄りで制作しました。
後半記事では静止画寄りとアニメーション寄り、2タイプのドット絵の違いについて現時点での所感を述べていこうと思います。
「静止画寄り」と「アニメーション寄り」の実例
静止画寄りだのアニメーション寄りだの言われても結局は私のさじ加減の話。
よく分からないと思うので実例を示しておきます。
まずは「静止画寄り」。
『魔法少女・オブ・ジ・エンド』から抜てきすると、過去作の「クロノス・M」が該当します。
後ろ髪と胸元のリボンだけ動かしたドット絵です。
次に「アニメーション寄り」。
今回の「アトラクション・M」と「レパルション・M」が該当します。
向き合っていた2人が途中から後ろに倒れるアニメーション。
クロノス・Mと違ってキャラクター全体が動いていますね。
2つの違いは動きがコンセプトに関わるか否か
静止画寄りとアニメーション寄りの一番の違いは「動きなしで表現が成立するかどうか」です。
例えば先のクロノス・M。
髪とリボンが動いていなくても表現に影響はありません。
題材は「月を背景に佇むクロノス・M」であり、ドット絵で見せたいものは変わりませんよね。
しかしアトラクション・Mの方は違います。
ステッキの光り方に対応して2人がくっついたり離れたりするのがコンセプト。
動きがなければ表現しきれません。
前半を切り取った静止画にすれば2人が向き合っているドット絵になり、後半だけを切り取れば2人が仰向けに倒れているドット絵になる。
見せたいコンセプトから乖離しています。
さらに、単体シーンでは向き合っている・倒れている「状況」に過ぎませんが、2つをつなげることで魔法の力が作用したという文脈も生まれてくるでしょう。
このように、動かして初めて作品の意味が分かるのが「アニメーション寄り」の特徴だと考えています。
静止画寄りのドット絵については以下の過去記事で詳細に触れていますので、よろしければ。
作画に関する所感
静止画寄りとアニメーション寄りでは別種の心構えが必要というのが私の所感です。
静止画寄りの気分でアニメーション寄りのドット絵に着手すると進捗が悪い、というような。
私はこれを、作業内容の微妙な違いによって発生する事象と考えています。
静止画寄り
静止画寄りのドット絵では一部分だけを動かすため、
- 髪や衣服のなびき
- 手先の運動
- 表情の変化
などの前コマからのわずかな差分を作画していくことが多いです。
下はクロノス・Mのドット絵の例。
アニメーションさせている「胸元のリボン」「後ろ髪」に関して、それぞれ水色・紫色で次コマの画像を重ねてあります。
差の小ささから、前コマを一部変化させて次コマを作っているといえますよね。
大部分が前コマの流用になるので1コマにおける作画量が少ないというのが大きな利点でしょうか。
ただしゆっくり動かすためにコマ数が増加しがちなので、全体の作業量が必ずしも少ないとは限りませんが。。
また、次コマと前コマがほとんど同じ絵面なので描いていて飽きやすいという欠点もありますね。
似た景色の作業を根気よく続けられるだけの精神状態にないときは作画がきついフォーマットだといえます。
アニメーション寄り
アニメーション寄りのドット絵ではキャラクターに目的の動作をさせるため、
- 体を傾ける
- 向きを変える
- ポーズを変える
というように、前コマから画像を大きく変化させることが多いです。
下はアトラクション・Mの例。
次コマを紫色にして重ねています。
前コマと全く異なる体勢をとっているのが分かるでしょうか。
アニメーション寄りのドット絵は前コマの状態にさほどとらわれず次コマを作画できる自由度があります。
中割りもそこまで必要ありません。
もちろん中間コマをおろそかにしてはいけませんが、吹っ飛びのような例だと次コマで一気に違う姿勢に持って行った方がかえって迫力が出るものです。
コマごとに内容が変わるので描いていて飽きづらく、前コマの出来が次コマに影響を与えにくいのは利点でしょう。
反面、前コマと全然違う絵を描いていくわけですので実質全て描きおろし。
作業量がかさむのが欠点といえます。
バイタリティにあふれていなければ、必要コマ数を予測しただけで心が折れることも珍しくありません。
以上を踏まえ、自分のコンディションによって制作するドット絵のタイプを決定するのはなかなかに大切ではないでしょうか。
私の場合、作業量に耐える気力を蓄えているときはアニメーション寄り、そうでないときは静画寄りを選ぶ、なんてことをしています。
反対に、根気強く差分を描くことを求められる静止画寄りのドット絵に挑戦する気が起こらず、消去法でアニメーション寄りを選ぶこともありますね。
世のクリエイターさんもこんな感じで、作品の性質と自分の気力をうまく擦り合わせて創作活動をしているのでしょうか。
今回のドット絵はコミックス表紙に合わせて白ベースの背景にしたかったのですが、キャラクターやハートの色と調和せず不採用にしました。
かといって現在の背景が適切とはいいがたく。
メインのキャラクターアニメーションは予定通りに完成したのに全体の見せ方でもう一歩、となってしまい反省しています。
センス不足を感じますね。
それでは今回はここまで。
次の記事でお会いしましょう。