みなさん、暑い毎日をいかがお過ごしでしょうか。
8月に入り夏も本番といったところですね。
夏といえば怖い話。
今月はホラーを題材にした作品を公開していくつもりです。
今回はその第一弾、子供の頃に見たトラウマホラーのドット絵をお送りします。
え?前にも同じコンセプトのドット絵を見たって?
怖い話がトラウマになるなんてホラー耐性がない時期ならザラですよ、ザラ。
それではどうぞ!
テレビドラマ『学校の怪談』から黒沢清監督の「花子さん」のドット絵
タイトル:『花子さん』
制作時間:20.3時間
『学校の怪談』という名称のホラー作品は数多くありますよね。
今回取り上げる『学校の怪談』は、1994年~2001年頃に放映されていたオムニバス形式のテレビドラマを指しています。
テレビドラマとして放映されるホラー作品は全体的に「ぬるい」印象を受けます。
しかし学校の怪談は超本格的に仕上がっているのが特徴。
大人になって見返しても良作ホラー映画に引けを取っていません。
それもそのはず。
収録されている短編の多くは、現代のホラー界を代表する映画監督によって制作されているのです。
「花子さん」は『学校の怪談 物の怪スペシャル』に収録された黒沢清監督の短編。
とある事情で集まった若者たちが花子さんの儀式を行い、呼び出された怪異に襲われるストーリーです。
学校の怪談の中でも怖いエピソードに数えられているようですね。
花子さんと聞くとトイレを連想するでしょう。
本作の花子さんもトイレから出現するのですが、他とは違う解釈になっています。
真っ赤な靴と真っ赤なドレスを身に着けた痩せ細った女性の姿。
非常に恐ろしい顔をしていて、見た人は恐怖で消えてしまいます。
危険な存在に登場人物が追い詰められていく流れはもはや王道。
花子さんという使い古された都市伝説をしっかりと日本ホラーに仕上げた名作です。
ドット絵『花子さん』について
花子さんは短編ながらも、記憶に残るシーンがたくさんあります。
その中から花子さん出現シーンをドット絵にしました。
誰もいないはずの個室から足首がゆっくりのぞく恐怖。
夕方のまだ明るい校舎もまた怖いんですよね。
ドアのハサミ
花子さん召喚の儀式では、若者たちがトイレのドアにハサミを突き立てます。
ハサミが抜き取られた後に花子さんが出現するので、一連の悲劇は儀式が中断されたペナルティなのかもしれませんね。
つまるところ、実際のドラマでは足首が出てきたタイミングだとハサミはすでに抜かれており、ドアに刺さっていません。
不気味な儀式も描いておきたかったのでドット絵ではハサミを残しました。
こだわりポイント
アニメーションをどうやってループさせるかは考えものです。
今回はタイトルでつなげてみました。
ホラー映画は黒地に白文字のカットが使われるイメージが私の中にあります。
『呪怨』の影響でしょうか。
ドット絵でタイルを描くための戦略
ドット絵『花子さん』は学校のトイレが舞台です。
現代はどうなのか分かりませんが、学校のトイレといえばタイル張り。
経験不足からかタイルの作画に苦労したので、制作で学んだことを記録しておこうと思います。
描きやすい模様なのに描いてみるとイマイチ問題
タイルを描くとしたら、みなさんならどうアプローチしますか?
特殊な形状のタイルでなければ、まずは格子模様を使ってみますよね。
パースで難易度が上がるとはいえ、通常であればこういった規則正しい模様は描きやすいもの。
線の色を変えてなじませてみました。
タイル張りというのは分かるようになった……のですが。
少し、くどく感じないですか?
線の主張が強すぎる
絵がくどくなるのはドットの配置量が増えたときが多いです。
しかしながら、ジャギ消しをしているわけでもなく必要最低限の線で格子模様を描いているはず。
影やハイライトを描き込んでみます。
理由がなんとなく分かってきました。
おそらく、線が密集しているため画面が重苦しくなっています。
タイルサイズに対して、継ぎ目の線が太すぎるのも原因でしょう。
その証拠に、影と線が重なってベタ塗りになった箇所はスッキリしています。
このくらい引いた構図だとタイルの形状が全てくっきり見える方が実は不自然。
線をなるべく減らしつつも「タイルが敷き詰められている」と解釈できる描き方に改善したいところです。
局所的な描き込みでタイル感を出す
試行錯誤した結果、床や壁の一部を使って質感を認識してもらえれば大丈夫ではないかという考えに至りました。
全面でタイルを表現する必要はないのです。
下の画像をご覧ください。
壁の格子模様を虫食い状態にしています。
この壁を見て「ここはタイルが張られている、こっちはつるつるしている」と場所ごとに質感を見定める人は少ないのではないでしょうか。
多くの人は断片的な情報から、レンガ積み・ひび割れ・タイル張りといった壁全体のイメージを固めてしまうでしょう。
部分的な描き込みでも質感を表現できるのです。
これを踏まえて、タイル張りを作画していきます。
タイル張りの作画手順
線の使用を抑えたタイル張りの壁を描いていきます。
最初に壁や床に明暗をつけましょう。
全体的な光の当たり方をここで決めます。
これだけだと凹凸がない表面になってしまうので、ここからタイルの質感を付けながら明暗の境界をなじませていきましょう。
まずは格子模様を入れ、タイルのサイズと位置を確定させます。
次にタイルを描き込んでいくのですが、位置によって描き込みの度合いを変更するのがポイントです。
陰影の境界部分では描き込み多め、境界から離れた場所は描き込み少なめにするのがよいと思います。
タイルごとに描き込みのレベルが違うのが分かるでしょうか。
例えば境界部分(赤枠)では、タイルの形状をしっかり判別できるようにハイライトと影色を使っています。
境界から少し離れた部分(黄枠)では、タイルの角が分かる程度にハイライトのみ使用。
明暗の中心部分(水色枠)では描き込みを行わず、ベタ塗り状態。
このような違いを出すことで明から暗へ、暗から明へ溶け込んでいくようにドットがなじみます。
現状だと格子模様が全面に入り「重い」状態なので、余計な線を削除します。
青い線だけを残すことにしました。
取捨選択の基準は塗りと同じ。
明暗の境界では多めに残し、境界から離れるほど線を少なく飛び飛びに配置するのがいいでしょう。
このままだと朽ちて表面がボロボロになった壁にも見えますよね。
壁の色に合わせて線の色や密度を調整し、印象を変えましょう。
線(タイルの継ぎ目)が光や影に溶け込んで視認しづらくなっている状態をイメージします。
赤枠では線色を薄くして壁色になじませました。
黄枠はハイライトによってタイルの角を示せているので、これ以上形状を強調する必要はないと考え線を減らしています。
水色枠はタイルの影を判別できる程度に線を残し、全面タイル張りだと受け取ってもらいやすくしました。
ここは感覚で作業したので、私の技術が向上すればもっとそれらしく描けるようになるでしょう。たぶん。
床の描き方も壁と同様です。
床のタイルは小さいので、格子模様の間引き方が適当だと砂利地面のようになります。要注意。
ドットの配置に規則性を持たせて人工物だと強調しましょう。
例えば赤枠内。
パース(青線)に沿って規則正しくドットを並べました。
もちろん横軸も合わせています。
私はあまり背景画を描きませんし、パースの知識もありません。
ですので今回のドット絵は苦労しました。
模写ドット絵の位置づけなのでパースはまだ何とかなりましたが、陰影などがイマイチで空間の魅せ方がなっていないと実感しています。
技術不足を理由に題材を限定するつもりは毛頭ないので、描きながら腕前を上げていければなと思っています。
「今回はクオリティが低いなあ」と感想を持たれましたら、苦手な題材に必死で取り組んでいる最中と解釈していただければ幸いです。
勉強内容は記事にまとめていきたいと思っていますので。
それでは記事はここまで。
等倍のドット絵でお別れしましょう。