しばらく更新を落としていてすみませんでした。
制作が滞った理由は先週にお知らせした通りです。
個人的にはトラブルそのものよりも、作業しなかった期間にドット絵を描く癖が抜けてしまったことが痛い。
習慣化がいかに難しいか分かりますね。
さて、今回久しぶりに公開するドット絵はエイプリルフールに向けて制作していた作品。
間に合わなかったからといってさすがにお蔵入りはなしです。
ぜひ見ていってください。
MTGのドット絵であると同時に某ゲームのパロディでもあるので、そちらもご存じであればうれしいです。
『マジック:ザ・ギャザリング』から、人気キャラクター・リリアナ由来の大呪文「闇の領域の隆盛」
タイトル:『闇の領域の隆盛』
制作時間:43.9時間
海外発の人気トレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング(MTG)』には背景ストーリーが設定されています。
カードイラストが物語の重要シーンだったり、何気なく描かれている人物が実はネームドだったり。
ストーリーを知るとMTGをより深く楽しむことができます。
物語があるからには当然、スポットライトが当たる人物がいるわけでして。
主役はセットごとに変わるものの、特定グループから選出されることがほとんど。
その中で明らかに人気なのが「リリアナ・ヴェス」です。
リリアナ・ヴェス
ドット絵は白骨化しているので、文中のリンクから麗しい姿をご覧ください。
「リリアナ・ヴェス」はMTG世界における主要人物のひとり。
悪魔との契約で魔力と年齢を維持しているため、若く見えても実は経験豊富なネクロマンサーです。
かつて契約した悪魔4柱を倒し自由を手に入れようとするのが彼女の前半ストーリー。
悪魔すら平気で裏切る悪女となっています。
ダークヒーローの認識で問題ないでしょう。
一方で、ファイナルファンタジーシリーズでおなじみ天野喜孝さんのイラストが起用されたことがある人気キャラクター。
通称「天野リリアナ」と呼ばれるそのカードは、通常パックから出現するカードとしては近年まれにみる高価格が付いています(特にFOIL版)。
発売当時は非MTGプレイヤーでも天野リリアナを狙ってパック開封する姿を見ました。
これほど多くの人を巻き込んでMTGが盛り上がることは今後しばらくはないんじゃないか……と思っていた矢先、他版権とのコラボが増えるとのこと。
ファイナルファンタジーコラボも予定されているので天野喜孝さんのイラストがまた収録されるかも?
闇の領域の隆盛
「闇の領域の隆盛」は『基本セット2014』に収録された神話レアカード。
カードテキストは以下の通り。
すべての墓地にあるすべてのクリーチャー・カードをあなたのコントロール下で戦場に出す。
プレインズウォーカー「リリアナ・ヴェス」が持つ最大忠誠度能力を再現したソーサリー呪文となっており、名実ともにリリアナと紐づいたカードになっています。
9マナはさすがに重く構築では見かけませんが、パーティーゲーム志向が強い統率者戦では活用されている模様。
「すべての墓地にあるすべてのクリーチャー・カード」というのがミソで、対戦相手が多いほど効果が大きくなります。
ドット絵の説明
この作品はエイプリルフールに向けて描いていたパロディドット絵です。
『Blasphemous(ブラスフェマス)』というゲームに登場するボス敵「埋葬の大司教 メルキアデス」をオマージュしています。
メルキアデスは信者たちの手によって生きているかのように操られる骸骨。
多くの腕に担ぎ上げられる姿が「闇の領域の隆盛」のカードイラストに似ていたため思いつきました。
リリアナの白骨化ビジュアル
カードイラストのパロディ化にあたってリリアナを骨に変えています。
これはメルキアデスのデザインに合わせたもの。
白骨化したキャラクターを無数の腕が担ぎ上げている構図を創作の軸にしました。
リリアナの衣装は『マジック・オリジン』版を採用。
イラストレーターさんの個性で細部こそ変わるものの、紫を基調としたドレスに左右非対称のブーツ、腰当など、よく描かれる基本形デザインだと思います。
カーテン代わりに鎖のヴェール
リリアナの後ろには「鎖のヴェール」を配置。
メルキアデスがいる部屋にかけられたカーテンを、リリアナ関連のオブジェクトで再現しました。
鎖のヴェールは強力な力を秘めた伝説のアーティファクトです。
ストーリーでは悪魔退治に活用されたほか、「ヴェールのリリアナ」のカード名にも登場。
採用理由に無理はないかなと。
ヴェールの左目にはマナコストを。
近年増えつつある特殊デザインのカードを意識しています。
情報を入れすぎるとカードタイプのドット絵と変わりないので他テキストはなし。
マナコストと絵の雰囲気でカード名を推理してもらうよう割り切りました。
[制作記事]白骨化していても人体作画は裸から
人物を描くときは裸を仕上げてから服を着せるのが(たぶん)定石です。
服に隠れる部分のごまかしや破たんを防ぐのに役立ちます。
私は人体が得意でないのもあって、練習を兼ねてこの手法を使っています。
むしろ服を着た状態から描ける人っているのかな……?
肉がないので骨格からスタート
今回のリリアナは白骨化しているとはいえ人型に違いありません。
肉がついている場合と同様、先に本体(骨格)を描き上げる方針にしました。
衣服で隠れることが確定している部位以外は描き込みまできちんと実施。
描き込んでいないパーツが服の隙間から見えてしまうのを防ぐためです。
リリアナの衣装は肌の露出多めですからね。
肋骨の数や骨盤の形は大きくデフォルメ。
特に骨盤はスカートに隠れるため、形状の正確さよりも立体感を優先しました。
経験上、立体感を表現できていないと服をうまく着せられません。
衣服より先にモーション
衣服は身体につられて動くのが理想。
身体の動きが決まらないことには服の動きも決まらないことになります。
そこで本体のモーションを先に作成しました。
こだわりとしましては体が奥側に傾くようにしています。
単純な上下移動だと味気ないですからね。
本体の状態に合わせて服を着せる
最後に服を着せます。
注意点はリリアナが白骨化していること。
服のサイズは肉がある状態を基準にしているでしょうから、白骨状態ではオーバーサイズになるでしょう。
よって体にフィットするように着こなしていた箇所についてはぶかぶかになるよう作画しました。
腕や脚、背中あたりが該当します。(赤枠内)
胸部分は中が空洞になっているつもりで描いたのですが乳揺れのようになってしまったのは反省点です。
新作の公開が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
現在はX(旧Twitter)でリクエストいただいたドット絵を制作しています。
期待に応えられる出来にしたいこと、今週から歯医者に通わなければならないことから、次回の更新も遅くなるかもしれません。
更新は落としても品質は落とさないよう心掛けてまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
それでは今回はここまで。
次の記事でお会いしましょう。