現在、不定期更新でやらせてもらっています。
1週間空けての更新。
今回はWEB漫画『忍者と極道』のドット絵を描きました。
タイトル通りに忍者と極道の抗争を描いた漫画で、以前から楽しく読ませていただいております。
スプラッター描写があるとはいえ表現はあくまでバトル漫画の範疇。
児童臓物(ガキモツ)とかすごい表現がでてくるけど少年漫画のように熱く感動できる王道な内容なので非常にお勧めです。
しばしば全話解放されるので、気になる方は目を光らせておきましょう。
漫画『忍者と極道』から、早打ちを極めた極道「流島椿沙」
タイトル:『流島椿沙』
制作時間:48.3時間
『忍者と極道』はコミックDAYSで連載中の漫画作品。
作者は近藤信輔(こんどう しんすけ)さん。
漫画の概要を以下に引用します。
トラウマから笑えない少年・忍者<しのは>、表向きはエリート会社員ながら裏では組を牛耳る極道<きわみ>。そんな2人が出会った時、300年にわたる忍者<ニンジャ>と極道<ゴクドウ>の殺し合いの炎が熱く燃え盛る! 孤独を抱えた漢達による、情熱と哀切に彩られた命のやり取り。決めようか…忍者と極道、どちらが生きるかくたばるか!!
忍者と極道 作品ページ | コミックDAYS
忍者と極道の争いを描いた物語で、あえて別作品で例えるなら男の友情版ロミオとジュリエット。
本来は敵対関係にある2人が図らずとも友情を深め合い、戦いに身を投じていきます。
忍者が善で極道が悪という立ち位置は固定ながらも単純な勧善懲悪ではなく、両勢力にフォーカスするダブル主人公制。
悪行を重ねる極道たちであってもバックストーリーを知ると、人生のどこかで救いがあったなら結末は違っただろうとしんみりしてしまいます。
未完結の作品ですから戦いはまだまだこれから。
友情の行方が楽しみです。
極道に関する知識
『忍者と極道』の極道を語るにあたって必要な知識を軽く説明しておきます。
極道技巧(ごくどうスキル)
“道”を“極める”と書いて“極道”。
極道が得意分野を極めることで習得する必殺技です。
地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)
ドーピング効果を持つ麻薬。
忍者のフィジカルに対抗するため極道が開発しました。
ほとんどの極道はこの薬を服用して戦いに臨みます。
破壊の八極道
極道陣営のトップに君臨する8人。
少数精鋭の忍者に対抗する存在として各エピソードのボスに設定されています。
八極道本人および直属の部下は忍者にとっても強敵です。
流島椿沙(ながしま つばさ)
「流島椿沙(ながしま つばさ)」は第1話に登場する極道。
極道技巧「早撃ち」の使い手で、すでに構えた相手が引き金を引くより早く銃を抜いて撃つ、という芸当をやってのけます。
「極道技巧を習得した者は忍者に対抗できるか」の試金石として主人公と戦い、瞬殺されてしまう噛ませ扱いでした。
ヤクをキメてさえいれば破壊の八極道配下の幹部くらいには強いと思っています。
見た目も直球のヤクザで好き。
平吉
「平吉」は流島の周囲を固める極道のひとり。
流島を兄貴呼びしていたことから舎弟のような立場だったのでしょう。
忍者の襲撃により最初に死亡しました。
ガタイに恵まれ他のヤクザより大きめです。
ドット絵の説明
この作品は漫画のワンシーンを切り出した再現ドット絵です。
要人をさらった流島ら極道が護衛を始末している場面。
「タイマンで勝てば人質を解放する」という条件をのんだSPが、流島の早撃ちによって次々と射殺されます。
キャラクターのカラーリングは資料がないので想像。
よって流島・平吉の髪色が作者さんの解釈と違っているかもしれません。
『忍者と極道』がアニメ化するなら答え合わせをしたいところです。
ヤクザたちのバリエーション
SPが逃げないよう取り囲む形でヤクザを配置。
正面、背面、横、斜めと各方向を向いたキャラクターを作画しています。
余るくらいの頭数をそろえた結果、見切れや不採用で日の目を見なくなったドット絵が発生してしまいました。
全ヤクザを並べるとこんな感じ。
顔つきや髪形の差で個性を出していくのは楽しかったです。
極道とSPの描き分け
画面内には極道とSPが配置されているわけですが、どちらもスーツ姿でややこしいですよね。
原作漫画を未読の方は特に「黒服の仲間同士で殺し合っている」と勘違いするかもしれません。
ヤクザとSPを区別するために、実はささやかながら描き分けを行っています。
スーツの色
まずはスーツの色。
ヤクザ(左)は青寄り、SP(右)は赤寄りの黒で塗り分けました。
相反する色にして敵対関係を表現する狙いもあります。
小さな差なので閲覧環境によっては同じ色に見えるかもしれません。
ネクタイの色
描き分けの2点目として、SPのネクタイを青色に統一。
統制された組織に属することを示すためです。
本当は赤が良かったのですが血の色と同化して視認性を下げるのでボツに。
SPのネクタイについて調べてみたところ赤いネクタイが支給されるとのこと。
やはり連帯意識の向上を重要視しているそう。
ただし着用は任意で色の制限はないようです。
[制作記事]服のしわで立体感を出す
ドット絵は(作風によりますが)立体をいかに表現するかがカギと言っても過言ではありません。
しかしゲームの歩行グラフィックくらいのサイズになると1ドットの影響が大きく、立体感を出すために置いたドットが邪魔になる(汚く見える)ことがあります。
そういう場合は「質感」で勝負すると割とうまくいきます。
ここからは服に立体感を出す手段として「しわ」をご紹介。
小さいサイズのドット絵ではジャギ消し&質感、質感&立体感のように1ドットに複数の効果を持たせなければいけない場面に遭遇しがちです。
しわはそれを実現しやすいので、小技のひとつとして覚えておくと便利ですよ。
しわなしの服を見てみよう
まずはしわのない服を確認してみましょう。
サンプルはヤクザのスーツです。
腕部分にご注目。
上は腕部分を線画+ベタ塗り状態で止めたドット絵です。
多くのドッターさんはここから
- ジャギ消し
- 立体感
といった「描き込み」作業に取り掛かることでしょう。
ではこの画像にジャギ消しを施してみます。
これだとのっぺりして見えますよね。
立体感を意識していないので当然と言えば当然です。
小さいサイズに影色の使用はイマイチ?
平坦さを改善するため、立体感を出す作業に入ります。
定番は「影色」を使った塗りですね。
光源を上に設定して塗った画像が以下。
感想は人によりけりといいつつも、少し物足りなくないですか?
影部分はともかく、明るい部分がまだ平坦といいますか……。
では腕全体に影がいきわたるように塗ってみると
論外です。
小さいサイズのドット絵に影色を置くと、面積の小ささゆえに主線に沿った配置になりがち。
すると段々になったグラデーション(段グラ)が出来上がります。(下画像の赤枠内)
段グラはモアレという状態を引き起こしドット絵を汚く見せます。
腕くらいのサイズのドット絵において影色で立体感を出す選択はベストでないというのが私の今の見解です。
服の立体感はしわで十分
ここまでに
- ジャギ消しでは腕の立体感を確保できない。
- 小さいドット絵に影塗りで立体感を付けると汚くなりがち。
という話をしてきました。
そこで登場するのが「質感」。
質感を追加すれば十分に立体を感じるのです。
今回の場合、具体的には「服のしわ」を用います。
例を見てみましょう。
線画で角が目立つ箇所があったとします。(赤枠)
そこにしわを描き加えましょう。
しわの入り方については実写画像を参考に。
ここで大切なのは先ほど角が立ち過ぎると判断したでっぱりを、布が張り出した部位として活用することです。
これにより表面の凹凸が再現され立体感がついたばかりか、本来は消したかった角(ジャギ)が意味を持ちました。
しわがジャギ消しも兼ねたわけです。
慣れれば線画の逆算も可能
慣れてきたら、しわを入れる箇所の線画をあえて崩しておく「逆算」ができるようになります。
あらかじめしわの位置を想定して線画を作成しておくわけですね。
構想段階(A)で腕にしわ(赤色)を入れたいと思ったなら、線画(B)のようにひじ部分に出っ張りを作っておきます。
その方が描き込み段階(C)でしわの立体感を出せているのが分かるでしょうか。
こうした先読みにより成功体験が生まれると上達を実感できて、モチベーションが上がりますよ。
ジャギをしわに活用できると知っていると、描き込みで線画をカバーする見通しを立てられるようになってきます。
例えばガタガタの線があったとしましょう。
塗り工程でガタつきを有効利用できるかもと気付いたなら、線を詰める時間を次工程に充てられます。
ドット絵の解像度ではどう頑張ってもきれいに引けない線が発生してしまうもの。
粘るべきか見極めるためにも引き出しを増やしておきたいですね。
それでは今回はここまで。
次の記事でお会いしましょう。
悪い見本用に作ったジャギ消しのみのスーツ、影色を付けたスーツが案外良くて笑った。