2023年ホラー企画の第6弾。
今回はホラーテレビドラマ『怪談新耳袋』のドット絵を制作しました。
かなり好きなタイプのJホラーです。
シリーズの一部しか視聴したことがないにわかなのが申し訳ないのですが1話完結型ですし、見たことのあるエピソードを取り上げてみることに。
ぜひ見ていってください。
余談ですが最新シリーズ『怪談新耳袋 暗黒』が7月27日から放映開始されています。
テレビを見られる方は要チェックだ!
ホラーテレビドラマ『怪談新耳袋』のエピソード「正座する影」
タイトル:『正座する影』
制作時間:19.1時間
『怪談新耳袋』は1話約5分のショートホラードラマ。
エピソードごとに違う監督が制作を担当しているためクリエイターの個性がもろに発揮されます。
短編ゆえに怪異の正体や原因に触れることはほとんどありません。
怪異との遭遇部分に力を注いだ構成が、怖いものだけを見たいファンにとって特に魅力的です。
面白くないホラーは登場人物の掘り下げや背景説明に時間を割いて中だるみしがちですからね。
見せたいものを表現するには5分で十分という制作陣の気概が伝わってきます。
エピソード「正座する影」
「正座する影」は『怪談新耳袋』のエピソードのひとつです。
旅館に宿泊中の主人公一行。
主人公が夜中に目を覚ますと広縁(ひろえん)の前に正座する影が。
寝ぼけた友人だと思っていた主人公ですが、影が頭を振り始め……。
ヘドバンとネタにされがちですが普通に怖いエピソード。
そもそもがいわくつきだったのか、ただの宿泊客が着物姿の幽霊?に遭遇するお話です。
相手の正体も目的もよく分からず。
日常的なシチュエーションで怪異に遭遇するという理不尽の王道を行っています。
こういうのでいいんだよ、こういうので。
続編エピソードが存在するとのことなので掘り下げがあったかもしれませんがシリーズの特性上、詳細不明なままでしょう。
おそらく。
ドット絵の説明
この作品はドラマのワンシーンを再現したドット絵です。
部屋の広縁近くに座って頭を振る幽霊を描きました。
下側には宿泊中の女性(主人公の友人)が寝ています。
劇中には数が増えたりでんぐり返しをしたり米を食ったりするシーンもあるのですが「正座する影」といえばヘドバン。
ネタとして注目され知っている人が多いことを見越して採用しました。
みんなで笑っているうちは面白いですけど実際に遭遇したらビジュアルだけでも相当怖いですからね、これ。
見下ろし型マップ風の部屋
見下ろし型の2DRPGをイメージして部屋を作画。
人物は歩行グラフィック風にしていないのでミスマッチさがあるかもしれません。
実写作品を題材にする場合は死んだパースに落とし込んでドット絵の味を強調していくのがいいと思っているのですが、どうでしょう?
(個人の考えです)
頭を振るアニメーションの速度
ドラマでは幽霊の動きがどんどん高速化していきます。
ドット絵は一定リズムで頭を振るアニメーションに。
再生時間やコマ数を変えることでスピードを変化させる演出は可能でしたが、アニメーション枚数が増えてしまうため不採用にしました。
内部的に同じ画像を使うので冗長性が気になりまして。
[制作記事]暗い部屋をどうやって描く?
ドット絵を制作していて夜を描写する機会が多いと感じています。
定期的にホラードット絵を描いているのも原因でしょう。
色を暗くすればいいと考えがちですが
- 素材が持つ本来の色
- 光源の色
なんかを反映させないといけないのが悩みもの。
美術的知識がない私は、ほぼ直感でやってきました。
ここからは暗い部屋を作画する手順を紹介していこうと思います。
そろそろ新しい知識を仕入れて手順や考え方をアップデートしたいので、現状記録ということで。
背景を本来の色で描く
最初に明るい状態の部屋を描きます。
本来の色を把握する目的があります。
座布団は赤、畳は黄といった具合に色をきっちりと決めました。
畳は黄緑色をイメージしがちですが古くなると黄色に変わってきます。
意図があってイメージから外しているカラーリングに関しては特に重要かなと思います。
カーテンだけは夜を想定したカラーリングになっています。
(外光の色合いをこの段階で決めているため)
明度を下げて暗くする
作成した部屋の画像を暗くします。
ツール機能を使って明度を直接調整しました。
明度を下げた画像がこちら。
「暗さ」はこれで十分満たすことができました。
RGB値を変えて色味を追加する
先ほどの画像は単に暗くしただけ。
光源が持つ色味を考慮していません。
ここでの光源とはカーテン向こうの外光を指します。
写実的な話は抜きにしてもドット絵は創作なのですから「画面を青白くする」などといった作品の方向性を反映する余地があります。
今回は全体的に青くすることにしました。
明度と同じくツールの色調補正を使い、RGB値を補正します。
青(B)を加算した画像がこちら。
ドット絵らしい塗りに近づける
RGB値を調整して画像に青みが加わりました。
ただ、これだとドット絵としては不十分です。
彩度が高くなり全体がぼやけた印象になっています。
ドット絵はパキッとした色のメリハリが魅力なので、このぼんやりさを消さなければなりません。
ドット絵らしい色差がつくようにRGB値をじかに調整していきます。
ここまでの工程で大体の雰囲気は固まっています。
もし自分が最初からこの方向性で塗ったとしたらどうしていたかという観点で色を変更。
下画像のようになりました。
写実的にしたいわけではないのでだましがあってもいいと思います。
部分的に赤みも足して青・紫系統でまとめました。
ここは個人の画風に左右されるでしょう。
暗い景色を描く機会は直近だけでも数回あり、どれも同じ方法で作画してきました。
理論的な考え方はほぼないので、そこに改善の余地があるのではないかと思います。
こういった使用頻度が高い手法にメスを入れられれば成長を実感しやすいのかもしれませんね。
それでは今回はここまで。
次の記事でお会いしましょう。