今回はホラーRPG『LostMaria-名もなき花-』(以降、LostMariaと省略)のドット絵です。
LostMariaはRPGツクールで制作されたゲーム。
かつてツクール製に代表される無料のゲームが流行した時期がありました。
実況動画はフリーゲームばかりだった覚えがあります。
(メーカー側のガイドラインが定まっていない時代だったので著作物への配慮もあったのでしょう)
私もそこそこの量をプレイした口でLostMariaもそのひとつ。
今なお記憶に残る名作ゲームです。
ドット絵を制作するにあたってゲームをプレイし直し、時代が変わってもいいものはいいと再確認しました。
ゲームに引っ張られて満足の出来になりましたので、ぜひ見ていってください。
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現在、記事の構成を再考中です。
よりコンパクトに、読みやすさ向上を目指しています。
今後は章立てなどがガラッと変わる可能性がありますがご容赦ください。
ダークでホラーなRPG『LostMaria-名もなき花-』から「賞金首たち」のドット絵
タイトル:『賞金首たち』
制作時間:31.9時間
『LostMaria-名もなき花-』はLucifer Brand(現・ImCyan)さんによって製作されたホラーRPGです。
公式サイトからストーリーを引用すると以下の通り。
文明崩壊後の世界、
新たな文明復興に急ぐ人間達は、ようやく元の生活を取り戻し始めていた
そんな折、ある雪の降る街で亡霊騒ぎが起こる街外れにある豪邸・ベオルブ邸
そこで亡霊が目撃されるようになった霊を静める為にエクソシスト達が入っていった
LostMaria-名もなき花- [Story] | ImCyan公式サイト
それから二ヶ月
事態は未だに解決していない
退廃したダークな世界観が魅力であり機械や銃器のようなロストテクノロジー、ファンタジーを連想させるアイテムやスキル、超常的な概念がうまく融合されていました。
剣や銃器を使って悪魔や幽霊、ゾンビ、あるいは人と戦っていきます。
探索先のベオルブ邸はあちこちに死体が転がっていますが、そこはホラー作品ですので。
システム面では複数の主人公を入れ替えながら冒険を進めていくザッピングが斬新。
メニューや戦闘画面も自作でツクール感がありません。
なお、クリエイターのImCyanさんは現在『つぐのひ』シリーズを手掛けています。
LostMariaは2005年頃の作品なので実に18年以上もゲーム、それもホラーを作り続けていることに。
芯が通っていて尊敬してしまいますね。
つぐのひファンはLostMariaを遊んでみると原点が分かって楽しいかもしれませんよ。
賞金首たち
ゲームにおけるエネミーは悪魔・幽霊・ゾンビといった怪物の類いが大多数ですが、人間との戦闘も発生します。
主な相手は「賞金首」。
亡霊騒ぎとほぼ無関係の狂人たちで、ベオルブ邸に潜み獲物を待ち構えます。
バーサーカー(本名不明)
無差別殺人を繰り返す狂人。
手にする剣で人間の首を狙います。
暗視ゴーグルを装備しているため暗闇に強く、薄暗いベオルブ邸は潜伏先にぴったり。
半裸で青肌なのは闇に紛れやすいよう何か塗っているのかもしれませんね。
賞金額は最も安い3000G。
Dr.ジキル
生態実験に取りつかれた元医師。
歴史上の重大な秘密を握っているものの興味はなく、情報と引き換えに得た施設で研究に明け暮れています。
会話が成り立つ程度には知性的。
選択肢によっては戦闘になりません。
賞金額は5000G。
ファーガス=シュナイダー
王都が誇る闘剣部隊の隊長だった男。
同僚の兵士を殺害して逃亡中。
闘剣術の奥義を極めるためにベオルブ邸に潜入しています。
猿ぐつわのようなマスクとピッチリスーツのせいか、プレイヤーから変態扱いされていました。
今見ると狂気度が引き立っていると思います。(個人の感想)
賞金額は10000G。
ドット絵の説明
本作は手配書風のキャラクタードット絵です。
壁に貼り出された手配書から賞金首を確認するというゲーム内演出が元になっています。
破れた手配書
手配書の右下部分を全て破いています。
これは「DEAD OR ALIVE」(生死問わず)から「ALIVE」だけを削るためです。
LostMariaにおいて賞金首を「生け捕る」システムはありません。
文字通り首を持ち帰って賞金を受け取ります。
設定上は生きた状態で引き渡しても構わないのだろうけどゲームとしてはDEADオンリー、というギャップを表現しました。
青い花
青い花はタイトル画面やロード画面に登場する、ゲームのシンボルです。
LostMariaのサブタイトル「名もなき花」はこの花。
舞台となる街にしか咲かない奇形種ということしか知られていません。
ドット絵では隣の落書きとセットでゲームタイトルを示唆させています。
メンバーのチョイス
ベオルブ邸内をうろつく賞金首は3人だけではありません。
他にもアリス=シュシュというとんでもなくかわいい女の子がいます。
いるのです……が!
アリスを忘れたまま印象に残っている奴をチョイスしていたら、ドット絵の定員が埋まってしまいました。
アリスは控えめに言って描きたかったです。
チックショー!!!!!!!!
[制作記事]くたびれた手配書の作画
今回のドット絵のメインコンセプトは「手配書風」です。
ダークな世界観に合わせて作画も雰囲気を出したいところ。
ここでは作画に使用したワンポイントテクニックを紹介しようと思います。
手配書の破れ
今回の作画では「手配書の一部を破りたい要件」がありました。
破いた状態から作画を始めると元の形状を想像しながらでむしろ難しくなるので、完品から不要個所を削って作る方針に決定。
まずは欠損がない手配書を作画します。
次に手配書上の別レイヤーを塗り潰して削除範囲を描き込みます。
確定したら手配書のレイヤーと結合して塗り潰し色を透過色に置き換えれば、破れた手配書の完成です。
手配書の破り目
破り目は加工直後のままだと雑に見えるので手直しが必要です。
形を整えつつジャギ消しをしたほか、ところどころに明るい色を置きました。
紙を破くのはハサミで切るのと違い、表面だけ薄くはがれる個所があったりします。
こういった白欠けを表現するために明るい色を配置したわけです。
かすれた文字
手配書は屋外に貼り出されているので風雨に晒されて劣化しているはず。
ただの文字では印刷がはっきりし過ぎているかのようで、どうにも風情が出ません。
そこでジャギ消しに使用した色を文字上にも配置。
文字を局所的に背景色になじませ、かすれた感じを出しました。
もっと大胆になじませれば、さらにかすれた印象を演出できるでしょう。
LostMariaは決して超有名タイトルではないですし、その中で賞金首たちは完全な脇役かもしれません。
しかしながらここ数カ月間で筆が一番乗ったんじゃないかと感じるくらい、描いていて楽しかったです。
どの賞金首も性格や嗜好を想像でき、動きをつけるのが楽しいのなんの。
シュナイダーなんかは当時のプレイヤーたちの反応を取り入れて、変態気味にしてしまいました。
キャラクターをここまで印象付けられるのは製作者さんの優れた演出力によるものなのでしょうね。
それでは今回はここまで。
次の記事でお会いしましょう。