2023年のホラー企画、第3弾。
今回は知る人ぞ知るコンテンツになった都市伝説『The Backrooms』のドット絵です。
私自身、『The Backrooms』を知ったのはここ1年くらいのこと。
2019年に生まれ2020年にコミュニティが出来上がっていたらしいので、およそ2年くらい遅れての認知になるでしょうか。
さすがに新参・にわかの域を出ません。
なので理解度は低め。
解釈違い等あるかもしれませんがBackroomsくらい広い心を持って見逃していただけると幸いです。
2023年現在、『The Backrooms』の設定はコミュニティごとに特色がある状態です。
今回のドット絵や記事は私が触れたコンテンツから得た知識を混ぜ合わせて出力したものであるため、皆さまの認識と齟齬があるかもしれません。
ご了承お願いいたします。
ネット発のシェアワールドコンテンツ『The Backrooms』
タイトル:『The Robby』
制作時間:22.2時間
『The Backrooms』は海外の掲示板サイト発祥の都市伝説です。
大元は「不安をかき立てる画像」として投稿された一枚の写真。
共感したユーザーたちの書き込みによって設定が付け加えられていきました。
今ではウィキペディアをはじめとするコミュニティが形成され、Backrooms内部の階層構造や生態系、ストーリー等がアップデートされ続けています。
Backroomsの世界観
Backroomsは現実世界から何かの拍子に落ち込んでしまった先に広がる異空間とされています。
「どこかで見たことがあるように感じつつも不気味な空間」がテーマであり、基本的には殺風景な景色が続くという特徴を持ちます。
判明している事柄は少なく、現実世界に戻る方法があるのかすら定かではありません。
階層
Backroomsには階層の概念があり「Levels(レベル)」と呼ばれています。
レベルには数字のほか、具体的な名前を付けられているケースも。
例えば下の風景。
黄色い壁と湿ったカーペットが無限に続く「レベル:0」は「The Robby」と呼ばれています。
Backroomsに入り込んだ人が最初にたどり着く部屋で、コミュニティによってはチュートリアルに位置づけられているとか。
レベルが変わると空間の特性もガラリと変化。
大抵の場合はレベル:0より生存が難しくなっていきます。
エンティティ
Backrooms内には危険な実体「Entiites(エンティティ)」がうろついています。
種類や出現頻度は階層によって異なり、安全なレベルでの遭遇率は高くない模様。
例を挙げると下のエンティティは「ハウラー」。
針金状の体をしており、人の声まねで獲物をおびき出して捕食する習性を持っています。
ほとんどのエンティティは人間を獲物として見ているようです。
ドット絵の説明
この作品はBackroomsのレベル:0「The Robby」をクォータービューで表現したドット絵です。
前半は、迷い込んだ人の視点で空間の探索を行います。
後半ではエンティティに遭遇。
一目散に逃げ出します。
階層の選択
『The Backrooms』に登場するレベルは様々。
その中からレベル:0「The Robby」を選んで描いています。
『The Backrooms』はこの階層から始まりました。
コミュニティが大きくなるにつれ、「どこかで見たことがあるように感じつつも不気味」という原則からかけ離れたレベルが増えたことが問題視されているとか。
最初に生まれたレベル:0こそ、本来の味を伝えるのに最も適していると判断。
クォータービューの採用
掲示板に投稿された「不安をかき立てる画像」は傾いた視点で撮られていたそうです。
それにならって傾き要素を組み込もうと、壁を斜めに配置できるクォータービューを取り入れました。
壁の向きは45度。
実はMMORPG『ウルティマ オンライン』を意識した角度です。
英語圏発祥コンテンツ同士の親和性を狙ってみました。
エンティティの選択
エンティティはよく知られていそうな「ハウラー」を採用。
ハウラーは有名な動画作品にも登場しています。
この作品によって私はエンティティ=ハウラーのイメージを刻み付けられました。
なお、動画のハウラーは設定上のハウラーと習性が異なっているため別物扱いが正しい?とのこと。
[制作記事]無限の広さを感じさせるマップ作り
Backroomsの再現には「無限に続くと感じさせる広さ」が必要です。
今回のドット絵制作では「マップ作り」が主でした。
概要を説明していこうと思います。
アニメーションの考え方
作成した大きめのマップの上をカメラ移動するイメージでアニメーションを作ります。
マップ終端に達したら先頭に戻るように構築すれば無限ループ、つまるところ無限に広い空間を演出できる仕組みです。
サイズを「大きめ」としたのは閲覧者が飽きないマップを作るため。
マップが小さいとループの周期が早くなるので、短い再生時間でも「この場所はさっき見た」と気付かせてしまうでしょう。
面積が大きければマップ内に景色のバリエーションを増やせるため飽き対策につながります。
マップを流用しつつ追加要素でマップに違いを出す
作りこんだ1つのマップを用意するのが一番……と思いつつも制作レパートリー増強を狙って実験的な手法に挑戦しました。
マップを流用しつつ空間の拡張を試みることに。
具体的に説明すると、そこそこな大きさのマップを1つ作った後にコピーして2つつなぎ合わせ、倍の大きさにするという方法。
横方向に倍の長さになっていることが分かります。
しかしこれでは同じマップが2つ連続するだけ。
ループしているのと変わりません。
そこで前半と後半の違いを演出するために3つ手を加えました。
遺留品の追加
Backroomsには不特定多数の人が迷い込んでいるため、いたるところに遺留品が置き去りにされています。
物品の配置を変えることでマップ前半と後半は違う場所だと認識できるようにしました。
先行者が残したサインも同様の役割です。
照明の追加
レベル:0「The Robby」は壁と床に注目が集まりがちですが、天井照明が不規則に配置されていることも特徴です。
そのためライトがないあるいは故障している場所は暗く、そうでない場所は明るいという違いを出せます。
マップ前半・後半のそれぞれに暗い箇所を設定すれば「同じように見えて照明の配置が異なる違う場所」になります。
照明は点滅させることで不調のバリエーションを増やせるのも魅力。
消えかけの照明は不安をあおるので、雰囲気作りの観点からも一石二鳥といえるでしょう。
移動速度の変更
遺留品や照明で違いを出したとしてもベースは同じマップ。
地形が一致している以上、「戻ってきたら様子が変わっていた」などと別の解釈をされても仕方のないところがあります。
そこで実質2周目となるマップ後半では、移動速度を上げて一気に駆け抜けさせました。
これにより地形を認識させる時間を極力減らしています。
いきなり走り出すなんて不自然ですが、ここはBackrooms。
エンティティから逃げるという理由付けができました。
最後に感想を述べさせていただくと、流用マップを別の場所扱いすることはやはり厳しめ。
物品や照明がどうあれ、地形が同じだと想像以上にデジャヴを感じます。
似たような景色が続くBackroomsだからこそ許容できる範囲に収まったのではないかと思います。
改良するなら
- より大掛かりで目を引く物品を配置する(ソファーなど)
- 部分的に壁の模様を変える
- 地形にも差をつけられる要素を増やす(柱など)
- カーペットの質感に差をつける(粗さなど)
ということが考えられるでしょう。
これらを駆使すれば見違えるかもしれません。
それでは今回はここまで。
次の記事でお会いしましょう。