今回は『マジック:ザ・ギャザリング(MTG)』のドット絵を描きました。
久しぶりに旧枠シリーズです。
直近は非カードタイプだったり拡張アート版だったりを描いていたので1年ぶりくらいでしょうか。
実製品の方は旧枠再録が増えてデザイン的なありがたみがなくなってきたものの、昔のカードを眺めているとやはりわくわくしてきますね。
初版と再録の間には超えられない壁がある気がします。
ドット絵からも初版旧枠の味わいを感じ取れたなら幸いです。
『マジック:ザ・ギャザリング』から、メルカディアン・マスクスの顔というイメージだった「高潮のクラーケン」
タイトル:『高潮のクラーケン』
制作時間:50.7時間
私がMTGを本格的に開始したのは『メルカディアン・マスクス』が出るか出ないかくらいの時期だったと思います。
第6版が登場した記憶はありますから、「MTGをプレイして最初に発売された拡張セット」という言い方が正確かもしれません。
『メルカディアン・マスクス』は商業が栄えるメルカディア次元が舞台のセット。
リクルート能力が特徴的で、特にレベル(反乱者)デッキがスタンダード環境で大きな勢力を誇っていました。
かの有名な「リシャーダの港」も収録。
当時の私はMTGの設定(次元ごとに文化が異なる)など知らなかったので、メルカディアの雰囲気に面食らったことを覚えています。
ウルザブロックの世界観が普通だと思っていたためマスクスのイラストに慣れず、正直に言って好きではありませんでした。
結果として古いパックばかり買う悲しきモンスターに(笑)。
スタン落ちを気にしないカジュアル勢だからできた行動ですね。
高潮のクラーケン
「高潮のクラーケン」は『メルカディアン・マスクス』に収録されていたレアカードです。
基本セットに再録されたこともあります。
6/6というサイズに加えブロックされない能力を持つクリーチャー。
フィニッシャーになりえますがマナコストが重く除去耐性がないため、構築では使いづらい部類のカードといえます。(言葉を選ばないならカスレア)
安レアと知りつつも、実は私の中でマスクス筆頭レアという感覚をずっと拭えないでいるカードです。
トーナメントパックのパッケージイラストに採用されていたからかマスクスといえばこれという印象。
初心者の頃に見たファッティは記憶に残りやすいのかもしれませんね。
甲鱗のワームと違いレアカードなので偶然入手しづらいですし、高嶺の花と憧れていたのかも。
ドット絵の説明
MTGのカードをそのままドット絵化するコンセプトで制作した作品です。
旧枠フォーマットを用いたシリーズに該当。
文章欄に追加したアニメーションにはカードが持つフレーバーを補強する意図があります。
クラーケンの出現により高潮が発生。
イラストエリアからあふれ出た波が文章欄まで押し寄せる演出にしました。
エメラルドグリーンの海
海の色を緑寄りに変更しています。
波がイラストからあふれたときに青いカード枠と同化しないよう配慮しました。
印刷品質によるとは思いますが実物イラストの海はもっと青めです。
参考までにメルカディアの名称はスペイン語から取ったとのこと。
スペインの海といえばリゾート地のエメラルドグリーン。
違和感はそこまでかと思います。(ないよね?)
水も滴る、いいテキスト
波をかぶったテキストには水が滴る演出。
落下量と速度が次第に減っていくように調整しています。
水滴のサイズが小さく地味なアニメーションになってしまったかも。
波の方がメインだからまあいいでしょう。
ちなみにMTGには「テキストが短いほど強い」という金言があります。
つまり高潮のクラーケンは……?
[制作記事]旧枠カードのドット絵、どのタイプがお好き?
ブログ開設当初からMTGのドット絵を描き続けてきました。
旧枠というフォーマットを定めているとはいえ、やりたいことはその時々によって様々。
しっかり描き込んで表現力を磨きたい、キャラクターを大きく動かして目を引く作品にしたい、など。
やりたいことを反映した結果、ドット絵に特徴が表れてタイプに分類できるようになりました。
ここからはそれぞれについて所感を述べてみます。
タイプによってアニメーション・描き込みの内容に差が出るのは必然。
見た人が「今回のは手抜きだな」なんて感想を抱かないよう、事前に弁明を図っておきましょう。
描き込みを重視するタイプ
キャラクターなど主役の動きを抑えつつ、演出(小物や背景)を中心に動かすタイプ。
旧枠カードドット絵の標準仕様です。
例えばシヴのヘルカイトが該当。
見た目の華やかさ・再現度・制作コストのバランスが取れていて、個人的に一番気に入っているタイプです。
静かに動くので風景画のような風情を感じます。(個人の感想)
実物の観察・静止画の描き込みに集中できるため、元イラストとしっかり向き合えている気分になるのもグッド。
一方で「せっかくドット絵にするんだから徹底的に動かすべきでは?」と自問自答することがあり、機会損失のように感じるのがネックでしょうか。
アニメーションを重視するタイプ
キャラクターに動作を付けて大きくアニメーションさせるタイプ。
例えばダンダーンが該当。
閲覧者受けが最も良いと思われるタイプです。
画面内の状況が時間経過で大きく変化するのでとにかく見た目が派手。
見ている側は楽しいんじゃないかと。
反面、カードイラストから確認できない範囲を想像で補わなければいけないケースが多いため作画が大変です。
アニメーション枚数もかさみがち。
キャラクターが画面内にいなくなる等、実物カードのビジュアルから乖離するタイミングも発生します。
このタイプは総合的に判断して再現度が高いのか、それとも低いのか。
まだ答えにたどり着いていません。
ギミックを重視するタイプ
座標移動や反転などの処理によって、カード枠全体を使った仕掛けを施すタイプ。
例えば天秤が該当。
枠ごといじれるので子供のおもちゃみたいな挙動になって楽しい。
カードを取り巻くフレーバー(天秤の場合はカード効果)を反映してアニメーションをつけるため、MTGの理解度が高そうなやつ感を出せます。
しかしながら、このタイプを選択できるケースはかなり希少。
よほどクリティカルなアイディアが浮かばない限り作品を作れません。
処理も単調で、動きのバリエーションが少ないのもちょっと。
高潮のクラーケンのドット絵は?
最後は今回制作した「高潮のクラーケン」について。
新タイプとまではいかないものの、各タイプの良さを組み合わせたアニメーションを目指しました。
まず、クリーチャーはたてがみ以外動かしません。
アニメーションを考慮しなくていいので気が済むまで詰めることができ、完成した静止画の満足度は高かったです。
穴埋めとしてキャラクターを高潮に乗せ「移動させる」ことで、「動かない」印象の払拭を試みました。
そして海周りは描き下ろしのアニメーション。
形状変化を伴うのでクラーケンの移動とはベクトルの違う見栄えとなり、作品に複雑さを与えてくれるでしょう。
画面内には常にクラーケンが存在するため、どのシーンを切り出しても元カードが分からなくなる心配なし。
やったぜ!
MTGのドット絵は模写要素があるので表現力を磨く練習になります。
旧枠フォーマットを適用できるため制作における精神的負荷(Remoraじゃないよ)が軽い上、高い認知度によって作品への反応も得やすい。
いいことずくめです。
こんなに利点があっても気分で題材を選んでいる以上、1年の間が空いてしまうのが現実なんですけどね!
それでは今回はここまで。
次の記事でお会いしましょう。